
本記事では、AIイラストでキャラクターに躍動感を出すためのプロンプトや方法を解説します。
AIイラストを始めたばかりのころ、「running(走る)」や「jumping(飛ぶ)」といったプロンプトを入れてみても、確かにキャラクターは走ったり飛んだりはしてくれる。けれど、どうにも走ってる感がなくて、イラストとしてはちょっと物足りないなぁ…なんて思っていた時期がありました。
つまり、躍動感が足りない状態です。そこで今回は、画像生成AIを使ってキャラクターをもっと生き生きと見せるために、躍動感のあるイラストを作る方法を解説します。
記事の流れはシンプルで、次の2本立てです。
順番に解説していきます。
AIイラストで躍動感を出す基本プロンプトセット
まずは、ざっくりと一発で躍動感を出せる基本のプロンプトセットを紹介します。
この3つを組み合わせるのが、AIイラストで動きを出すときの基本形です。
ローアングル構図でキャラクターに躍動感を出す

1girl, blue eyes, green long hair, twin tails, track jacket, sports bra, training shorts, sportswear, light smile, profile, jumping, city, from below
内容 | プロンプト |
---|---|
ジャンプする(ローアングル構図) | jumping, from below |
左右のイラストの作例の差は「from below(ローアングル)」だけです。これを加えるだけでもイラストに躍動感がでているのがわかります。
モーションブラーで走る動きに躍動感を出す
続いてモーションブラー(ブレの演出)のプロンプトです。

1girl, blue eyes, green long hair, twin tails, track jacket, sports bra, training shorts, sportswear, sneakers, light smile, running, from side, city, motion blur on background
内容 | プロンプト |
---|---|
走る(モーションブラーによる追加演出) | running, motion blur on background |
「motion blur on background」のプロンプトを加えることで、背景の景色が流れるように描写され、躍動感がでます。写真テクニックの流し撮りをしたようなイメージになります。
髪の動きと風の表現で自然な躍動感を出す

1girl, muted blue eyes, green long straight hair, tareme, showing forehead, serafuku, portrait, headshot, straight-on, light smile, floating hair, wind, city, sunset
内容 | プロンプト |
---|---|
風で髪が舞う | floating hair, wind |
おでこが見える(補強用) | showing forehead |
キャラクターが止まっていても、髪を舞わせるだけで十分に躍動感が出ます。そこに「showing forehead」を加えると、風でおでこがふわっと舞い上がる様子まで再現できます。さらに動きを強調したいときに、とても有効なプロンプトです。
ここまでに紹介した要素を詰め込んでみました。

1girl, muted blue eyes, green long straight hair, tareme, white dress shirt with green bowknot, gray pleated skirt, leaning forward, running, from below, profile, from side, floating hair, wind, motion blur on background, neon, night, summer, urban road background
この3点セットは、どんなシチュエーションでも大抵うまくハマる相性のいい組み合わせです。AIイラストで躍動感を出したいときは、まず試してみるととても効果的です。
応用編|AIイラストで躍動感を強めるプロンプト集
続いては応用編です。
ダイナミックな表現からちょっとした工夫まで、AIイラストで躍動感を出すときに役立つさまざまなプロンプトを紹介していきます。
立ち姿を美しく見せるコントラポスト

内容 | プロンプト |
---|---|
片足に体重をかけて立つ | contrapposto |
コントラポストは、美術の用語で「片足に重心をかけて立つポーズ」のことです。体に自然なS字カーブが生まれて、シンプルな立ち姿でも躍動感が出ます。
作例を見ても、ただの直立と比べてぐっと生き生きして見えます。ほんのわずかな違いですが、AIイラストの雰囲気に意外なほど大きく影響するので、知っておいて損のないプロンプトのひとつです。
ポーズ指定プロンプトで動きを表現する
プロンプトに入れるだけで、とりあえずキャラクターがポーズをとってくれる便利なワードがいくつかあります。
ここでは、その中でも躍動感を出すときに役立つ代表的なポーズ用プロンプトを紹介します。

posing

dynamic pose

action pose

animal pose

dancing pose

t-pose
プロンプト | 再現内容 |
---|---|
posing | モデルがとるような決めポーズ |
dynamic pose | 大げさな動きのポーズ |
action pose | アクション中の決めポーズ(dynamic poseとそんなに差異はないです) |
animal pose | 動物の真似をするポーズ |
dancing pose | ダンス中のポーズ |
t-pose | 腕を広げるポーズ(画面を広く使える) |
なお、以下記事にて基本的なポーズのプロンプトを一覧で紹介しています。ぜひこちらも併せてご活用ください。画像生成AIで再現できる様々な動作を確認できます。
ダッチアングル(dutch angle)でカメラ構図に動きをつける

内容 | プロンプト |
---|---|
カメラの水平線を傾ける | dutch angle |
カメラアングルの水平線をあえて崩すことで、構図に不安定さが生まれ、イラスト全体に躍動感をプラスできます。
集中線(効果線)や残像効果でスピード感を演出する
集中線(水平)

horizontal speed lines
集中線(縦)

vertical speed lines
集中線(放射)

emphasis lines
動きの軌跡の線

motion lines
残像

afterimage
内容 | プロンプト |
---|---|
集中線(水平) | horizontal speed lines |
集中線(縦) | vertical speed lines |
集中線(放射) | emphasis lines |
動きの軌跡の線 | motion lines |
残像 | afterimage trail behind subject |
集中線(効果線)は「speed lines」だけでもAIが動きに合わせて描いてくれますが、私の経験では水平や縦などの指定を加えたほうが安定して再現されました。
残像も「afterimage」だけで出せますが、「afterimage trail behind subject」と少し詳しく書いたほうが、より安定して躍動感を表現できます。
視線の方向指定でキャラクターに動きを持たせる
振り返る

looking back
目をそらす

averting eyes
下を見る

looking down
上を見る

looking up
横を見る

looking to the side
内容 | プロンプト |
---|---|
振り返る | looking back |
目をそらす | averting eyes |
下を見る(俯く) | looking down |
上を見る(見上げる) | looking up |
横を見る | looking to the side |
わずかな違いでも、視線の動きに意味を持たせることでイラストに躍動感が加わります。たとえば「looking up」のプロンプトなら、女の子がふと上を見て、そこに何かを見つけたような暗示を作り出せます。
フレーム内の空間配置でイラストに流れを作る

1girl, white skin, brown eyes, catchlight, tareme, jet black long hair, blunt bangs, straight hair, white dress shirt, red ribbon tie at collar, navy pleated mini skirt,smile, head tilt, adjusting hair, wind, looking to the side, on the left side of the frame, floating water drop, rooftop, city below, blue sky
内容 | プロンプト |
---|---|
人物を左に配置(右に空間を空ける) | on the left side of the frame |
人物を右に配置(左に空間を空ける) | on the right side of the frame |
画像生成AIは基本的にキャラクターを中央に配置してくるので、このプロンプトを使うだけで新鮮なイラストになります。思い切って空間を空けると、それだけで躍動感が出ます。ひとつ前で紹介した視線誘導と組み合わせると、かなりいい感じになります。
ちなみに、右に空間をあけると視線が自然に左から右へ流れていきます。人の目線はもともとその方向に動きやすいので、「未来」「希望」「これから始まること」といったイメージを示唆できます。逆に左に空間をあけると、過去を振り返るような雰囲気や、行き止まり感を演出できます。絶対のルールではありませんが、多くの映像作品で自然に取り入れられている手法です。
例えば映画では、物語の冒頭で主人公が左から右へ走り抜ける場面がよくあります。終盤になると、悩みを抱えて右から左へ歩いていくシーンに変わる。こうした対比がストーリー全体の印象を強めてくれます。

誇張遠近法(foreshortening)で迫力ある動きを表現する
両手を伸ばす

顔を近づける

足のクローズアップ

手のひらを近づける

内容 | プロンプト |
---|---|
極端な遠近法 | extreme foreshortening, exaggerated perspective |
– 両手を伸ばす | reaching towards viewer |
– 顔を近づける | extreme close-up face, leaning towards viewer, arms behind back |
– 足のクローズアップ | close-up legs |
– 手のひらを近づける | one hand reaching towards viewer with palm visible |
それぞれのシーンでは、まず「extreme foreshortening, exaggerated perspective」を入れてパースを強調します。そこにクローズアップしたい部位のプロンプトを加えると効果的です。
誇張された遠近法が再現されることで、画面全体に自然な躍動感が生まれます。
まとめ
今回は、AIイラストでキャラクターに躍動感を出すための具体的なプロンプトを整理して紹介しました。
基本の組み合わせから応用までを見直すことで、どんなシーンで活かせるのかが明確になったと思います。また、それぞれのプロンプトが持つ特徴を理解しておくと、自分のイラストに合った使い方を選びやすくなります。小さな工夫でも、表現に大きな変化が出せます。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。