
本記事では、動画生成AIを使って、アニメ風の格闘シーンを作るためのプロンプトを紹介しています。
AIの進化スピードには、本当に驚かされます。動画生成AIもその例外ではなく、日々進化がすごすぎて、最近ではまるでアニメのワンシーンのようなバトル映像まで生成できるようになってきました。
わたし自身、動画生成AIを触り始めてからまだ一週間ほどですが、何度も試すうちに「これはうまくいくな」というコツのようなものが少しずつ見えてきました。
そこで今回は、SNSでも話題になっている動画生成AIで格闘シーンを再現するプロンプトについて、試行錯誤からわかったポイントをわかりやすくまとめて紹介していきます。
なお、わたしが使っている動画生成AIは「Hailuo AI」というツールで、無料でも何度か生成を試すことができます。初めての方に向けて、登録の手順や使い方の流れを以下記事でまとめてあるので、よければそちらも参考にしてみてください。
ぜひ一緒に、AIで格闘シーンづくりに挑戦してみましょう。
地上の打撃戦を再現するプロンプトとカメラ演出のコツ
いろいろ試してみたところ、動画生成AIでスムーズなアニメーションを作るためのコツがいくつか見えてきました。中でも特に大事なのは、6秒という時間を無駄なく使うこと。そのためには、演出用プロンプトで「この6秒で何をするか」を具体的に指示しておくことがポイントになります。
このあとの作例動画を使いながら、順を追って解説していきます。
Anime-style fight scene: two rivals fight in a battlefield — the camera bounces with each impact, handheld-style, orbit tracking shot, whip pan — steel sparks bursting, their punching and jumping kicks collide and generate a strong shockwave. Extreme close up focusing on the silver-haired girl from behind the shoulder of the light green-haired girl.
今回使用したイラストは、以下の一枚のみです。
この画像をもとに、記述したプロンプトの各要素が何を意味しているのかを、表にまとめて解説していきます。

部分 | 内容 | 解説 |
---|---|---|
Anime-style fight scene | アニメ風の戦闘シーン | 描写スタイルをアニメ調に指定。 |
two rivals fight | 2人のライバルが戦う | キャラクター関係性とシーンの主題を明示。 |
in a battlefield | 戦場で | 舞台設定。環境を戦場に。 |
the camera bounces with each impact | 衝撃ごとにカメラが揺れる | カメラ演出①。戦闘の迫力を強調。 |
handheld-style | 手持ちカメラ風 | カメラ演出②。臨場感と不安定さを表現。 |
orbit tracking shot | 周囲を回るトラッキングショット | カメラ演出③。戦闘を追いかける動的視点。 |
whip pan | ウィップパン | カメラ演出④。急速にカメラを振ってショットを切り替える。スピード感を演出。 |
steel sparks bursting | 鋼の火花が飛び散る | 武器や衝突時のエフェクト。戦闘の激しさを演出。 |
their punching and jumping kicks collide | 二人のパンチと跳び蹴りが衝突する | アクション動作の描写。肉体的格闘を表現。 |
generate a strong shockwave | 強力な衝撃波を生む | アクションのクライマックス。非現実的な迫力を付加。 |
Extreme close up focusing on the silver-haired girl | 銀髪の少女にフォーカスした極端なクローズアップ | カメラ構図①。被写体を大きく映す指定。 |
from behind the shoulder of the light green-haired girl | ライトグリーン髪の少女の肩越しから | カメラ構図②。肩越しショットで二人の関係性を強調。 |
特に重要な要素には、マーカーを引いて強調しています。
今回の動画は6秒間ですが、実際に扱ってみると、この6秒というのは意外と長いのです。
たとえば、カメラ演出やアクションの指示数が少ない場合、最初の2秒ほどでプロンプトがすべて消化されてしまうことがあります。そうなると、残りの時間がもたずに、同じ動きがループするような、単調な映像になりがちです。
そのため、6秒の中でAIに何をさせるかをしっかり考えて、やることリストとしてプロンプトで指示しておくのがとても大切だと感じました。これは、実際に何度も失敗を繰り返す中で、「たぶんそういうことなんだろうな」と思うようになった気づきです。
プロンプト不足で失敗した格闘シーンの例
参考として、6秒間で何をさせるかを十分にプロンプトで指示できなかった場合の失敗動画を紹介します。
先ほど紹介したプロンプトから、それぞれ「whip pan」「punching」「Extreme close up focusing on the silver-haired girl from behind the shoulder of the light green-haired girl」の記述がないバージョン。
動画を見てもらうとわかるのですが、開始から2秒ほどで蹴りの動作が一通り終わってしまっています。
そのあと残りの4秒間にやることがなくなったのか、とりあえず同じ動きを繰り返し続けていて、ずっと蹴っている状態です(笑)
ちなみに、本来は6秒の動画として生成されたはずなのですが、アップロードしてみるとなぜか5秒間でした。
このように、実際にやってみると6秒という時間は意外と長く感じられるので、最初からAIにしっかり6秒間の動作を任せられるように、やることリストをプロンプトで明示しておくことが大事だと思います。
なお、AIがうまく動いてくれて、ヒットアンドアウェイをしたり、勝手にパンチを入れてくれたりすることもありました。ただし、やはりプロンプトの指示が少ないと、安定感に欠ける印象がありました。
空中の斬撃戦を再現するプロンプトとStart/End Frame活用
続いては、空中での斬撃戦を再現するためのプロンプトを紹介します。
Anime-style fight scene: two rivals fight in mid-air, the camera shaking with each impact, handheld-style, orbit tracking shot , whip pan — their slashing sends steel sparking, ice rocks breaking, and powerful shockwaves unleashing

Start Frame

End Frame
部分 | 内容 | 解説 |
---|---|---|
Anime-style fight scene | アニメ風の戦闘シーン | 描写スタイルをアニメ調に指定。 |
two rivals fight in mid-air | 空中で戦う二人のライバル | シーンの主題と舞台設定。戦場が「空中」であることを明確化。 |
the camera shaking with each impact | 衝撃ごとにカメラが揺れる | カメラ演出①。臨場感を高める。 |
handheld-style | 手持ちカメラ風 | カメラ演出②。動きの不安定さで迫力を表現。 |
orbit tracking shot | 周囲を回り込むトラッキングショット | カメラ演出③。戦闘を追いかけながら動的に見せる。 |
whip pan | ウィップパン | カメラ演出④。素早いカメラ振りで切り替え、スピード感を強調。 |
their slashing sends steel sparking | 二人の斬撃が鋼の火花を散らす | アクション効果①。武器の衝突を強調。 |
ice rocks breaking | 氷の岩が砕ける | アクション効果②。環境破壊の演出を追加。 |
powerful shockwaves unleashing | 強力な衝撃波が解き放たれる | アクション効果③。クライマックス的演出。 |
今回は、「Start/End Frame」機能を使っています。
最後のシーンはEnd Frameに指定したイラストに向かって進行する構成なので、その分、プロンプトの記述量は少なめになっています。
ただし、6秒の中に意味のない動き(いわゆる消化試合のような動作)を入れないようにするためには、カメラ演出やアクション効果の指示がやはり重要だと感じました。
また、今回は「Start/End Frame」という機能を使用しています。この機能については、冒頭で紹介した別記事「Hailuo AIとNano Bananaで作るAI動画」の中で詳しく解説しているので、気になる方はそちらもぜひ参考にしてみてください。操作もシンプルで、めっちゃ簡単です。
巨大構造物を破壊する斬撃シーンのプロンプト
最後に紹介するのは、剣で巨大な建造物を破壊し、爆発させるシーンのプロンプトです。
A classic maid confronting a colossal structure. she wields a glowing long sword and rushes at full speed toward a colossal structure. She charges forward, leaps, and slashes. circling during strike, with rapid pull-back at explosion. slow-motion at impact. Her strike causes the colossal structure to crumble apart piece by piece, raising clouds of dust, collapsing dynamically, and erupting into a massive explosion. The glowing long sword and trailing energy highlight her movements.

部分 | 内容 | 解説 |
---|---|---|
A classic maid confronting a colossal structure | クラシックなメイドが巨大建造物に立ち向かう | シーンの冒頭、対峙関係を提示。 |
she wields a glowing long sword | 光り輝く長剣を構える | 武器の種類と特徴を明示。 |
rushes at full speed toward a colossal structure | 全速力で巨大建造物に突進する | 行動の勢いと対象を指定。 |
She charges forward, leaps, and slashes | 前進し、跳躍し、斬撃を放つ | 戦闘アクションを段階的に描写。 |
circling during strike | 斬撃時にカメラが周囲を旋回する | カメラ演出①。動的視点を付与。 |
with rapid pull-back at explosion | 爆発時に素早く引きで切り返す | カメラ演出②。爆発の迫力を強調。 |
slow-motion at impact | 衝突時にスローモーション | カメラ演出③。インパクトを強調。 |
Her strike causes the colossal structure to crumble apart piece by piece | 斬撃によって巨大建造物が次第に崩壊する | 破壊効果①。段階的崩壊を描写。 |
raising clouds of dust | 土煙が舞い上がる | 崩壊の副次効果。環境表現。 |
collapsing dynamically | ダイナミックに崩れ落ちる | 崩壊の演出②。迫力のある表現。 |
erupting into a massive explosion | 大爆発を起こす | 破壊効果③。クライマックス演出。 |
The glowing long sword and trailing energy highlight her movements | 輝く長剣と残光が彼女の動きを際立たせる | ビジュアル効果。アクションの余韻を強調。 |
今回は、キャラクターと巨大建造物との距離が離れていたこともあり、プロンプトに動作を詰め込みすぎると、逆に時間が足りなくなるように感じました。
というのも、建造物の崩壊や爆発には2〜3秒ほどの尺が必要になるため、キャラクター側では余計なアクションを入れず、「突進して斬る」だけに絞ったプロンプトにしています。
このシーンの主役は建造物の崩壊と爆発なので、そこに時間をしっかり使ってもらうためにも、キャラクターの動きはシンプルで良さそうです。
ここからは、ちょっと余談です。
この動画を生成しているときに、AIが建造物との距離をちゃんと認識しているように感じたことがありました。
それが気になって、もっと遠くに建造物があるケースでは、同じプロンプトでどう動くのかを見てみたくなり、もう1枚イラストを用意して試してみました。
距離が離れた建造物を破壊する場合の挙動
このとき使用したプロンプトは、先ほどとまったく同じ内容です。
今回のイラストでは、建造物とキャラクターのあいだに河川がある構図にしてみました。あえてこういったシチュエーションで試してみたところ、ちゃんとキャラクターが手前で止まり、ジャンプして攻撃する動きをしていて、「ちゃんと河川を認識してる…!」という驚きがありました(もしかしたら偶然かもしれませんが…)。
ちゃんとイラストの状況を読み取って、キャラクターの動きを調整しているように見えたので、とても感心しました。
AIすごい……。
ただその代わり、物理的に建造物まで辿り着けない状況だったのか、無理にでも辻褄を合わせるように破壊動作を成立させました。AIがちょっと困ったのかな?って考えると可愛いかもです。
まとめ|動画生成AIでアニメ風バトルシーンを作るポイント
空中斬撃戦のプロンプトで生成したAI動画をいくつか繋げてまとめてみました。
今回は、動画生成AIで格闘シーンを作るためのプロンプトを紹介してきました。
地上での打撃戦、空中の斬撃戦、巨大建造物の破壊。それぞれに合ったプロンプトの書き方やカメラ演出の入れ方を試しながら、ポイントをまとめてきました。
とくに大事なのは、6秒間という短い中で「何を見せたいか」をしっかり決めておくこと。
プロンプトが少ないと、AIもやることがなくなってしまいます。逆に、やることが詰まりすぎても動ききれないので、バランスが大事です。
動画生成AIは、まだまだ進化の途中ですが、いろんなことを試してみる面白さがあると思っています。
今回の内容が、AIでバトルシーンを作ってみたいと思っていた方のヒントになればうれしいです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。