
本記事では、Nano Banana Proを使って、元画像にライティングテクニックを指示するためのプロンプトを紹介しています。
Nano Banana Proのすごいところは、自然言語だけで専門的なテクニックを再現できるところです。
わたしは写真が好きで、今でもよく撮りに出かけるのですが、ポートレートもよく撮っています。スタジオでポートレートを撮る時によく使うのがストロボという照明機材で、これを色んな角度から当てることで、人物の雰囲気や印象を大きく変えることができます。
今回は、そうしたライティングの考え方を応用しながら、Nano Banana Proを使って元画像に後から光を加えるためのプロンプトをまとめました。
なお、Nano Banana Proについて「どんなことができるか」を紹介した記事もありますので、よければそちらも併せてご覧になってみてください。
Nano Banana Proでライティングを指示する方法(基本)

Nano Banana Proのように自然言語で指示できるAIの場合は、細かく指定する部分と、ふんわり任せてしまう部分を分けて考えるのが、経験上ベストと思っています。
たとえば今回はライティングを再現しますが、レンブラントライティングは本来、照明を2つ使って、一つを右斜45度から当てて、もうひとつを逆方向から弱めに当てる、というものです。
ただ、これをそのまま細かく指示すると、逆におかしな結果になりやすいです。
それよりも、「レンブラントライティングを使ってね」「その際に、使用灯数や照明位置はあなた自身で考えてね」というように、使うライティング名だけ指定しておいて、光の構成そのものはAIに考えてもらう。「使用灯数」「照明位置」などの思考すべき方向性だけは与えておくのがポイントです。
そのため、もしAIが「レンブラントライティング」をちゃんと解釈していなかったり、間違った方向で学習している場合は、間違った内容でライティングは再現されます。
このあたりは仕方ないと割り切った方がいいとわたしは思っています。角度や光量をこちら側から細かく修正しようとしても、思ったように反映されないことが多いと感じてきたからです。
いずれにせよ、AIが何らかの形で学習した「レンブラントライティング」を再現してくれます。なので「とりあえずそれでOK!」というように、AIと付き合っていったほうがいいのかなと個人的には感じています。
Nano Banana Proで再現できるライティング技法一覧
それでは早速一緒にみていきましょう。
現在のNano Banana Proがそれぞれのライティングをどのように解釈しているのかも分かって興味深いです。
基本的なプロンプトの組み立て方ですが、Nano Banana Proへの指示は「2段構成」になっています。
まずタスク1では、AI自身にライティングの提案をしてもらいます。このときは、考えてほしい方向性だけを示しておく感じです。そして次の段階(タスク2)で、AIが考えてくれたライティングを実際に適用してもらいます。
この流れにしておくと、細かい角度や光量をこちらが無理に指定しなくても、AIが自分の理解の範囲で最適なライティングを組み立ててくれるので、とても扱いやすいと思いました。
ループライティングの再現方法(Nano Banana Pro)
少し高めのライトを斜めに当てるライティングで、鼻の影が斜め下にループ状にでます。ポートレートのライティングとしてポピュラーなテクニックです。扱いやすいライティングです。

元イラスト(NovelAI)

Nano Banana Proの生成結果
添付画像に対して、以下に指定する照明技術(ライティング)を適用させてください。
タスク1:
照明技術(ライティング)「ループライティング」について、
使用する灯数、照明位置・当て方、光の効果・影の形を提案してください。
タスク2:「タスク1」で構築した照明効果を添付画像に適用させて、高精細なイラストを出力してください。
| ライティング名 | 想定される照明 |
|---|---|
| ループライティング | 使用灯数:2灯 キーライト:顔から35°横・やや高め(30〜40°上) フィルライト:逆側から弱め(キーの1/4程度) |
元々のイラストも悪くないですが、ループライティングを加えたことで格段に光の立体感がでたと思います。
元イラストをここまで立体的なライティングで再現してくれるのはありがたいですね。イラストに対してオーソドックスな陰影による立体感を出したい時に一番使える指示プロンプトだと思います。
スリー・ポイントライティング
個人的にNano Banana Proの理解力最強、使い勝手最強のライティングだと思います。超おすすめです。

元イラスト(NovelAI)

Nano Banana Proの生成結果
添付画像に対して、以下に指定する照明技術(ライティング)を適用させてください。
タスク1:
照明技術(ライティング)「スリー・ポイントライティング」について、
使用する灯数、照明位置・当て方、光の効果・影の形を提案してください。
タスク2:「タスク1」で構築した照明効果を添付画像に適用させて、高精細なイラストを出力してください。
| ライティング名 | 想定される照明 |
|---|---|
| スリー・ポイントライティング | 使用灯数:3灯 キーライト:顔から40°横・やや高め フィルライト:逆側からキーの1/4〜1/3 バックライト:後ろ45°〜60°(頭頂部〜肩ラインを照らす) |
ポートレートの撮影現場でよく使われる鉄板の3灯ライティングです。
スリー・ポイントライティングについて、まさかここまでしっかり理解してライティングしてくれるとは思っていませんでした。
ざっくり説明すると、ひとつ前に紹介した「ループライティング」にもう1つライトを足しています。バックライトを足すことで、髪、肌、衣装の輪郭に光を当ててさらに立体感を出しています。
どんなイラストにもマッチしやすく、3灯のリッチな光が当たるのでイラストの雰囲気をワンランクアップさせたような雰囲気にしやすいです。
レンブラントライティング
斜め方向から光を当てて、顔に立体感を出す有名なライティング技法です。頬に逆三角形のハイライトが入るのが特徴です。

元イラスト(NovelAI)

Nano Banana Proの生成結果

添付画像に対して、以下に指定する照明技術(ライティング)を適用させてください。
タスク1:
照明技術(ライティング)「レンブラントライティング」について、
使用する灯数、照明位置・当て方、光の効果・影の形を提案してください。
タスク2:「タスク1」で構築した照明効果を添付画像に適用させて、高精細なイラストを出力してください。

| ライティング名 | 想定される照明 |
|---|---|
| レンブラントライティング | 使用灯数:2灯 キーライト:顔から45°横・やや高め(40〜50°上) フィルライト:逆側から弱く(キーの1/4〜1/8程度) |
レンブラントライティングは、実際には表に記載したような状態になります。
ただこれは具体的にAIには指示しません。あくまでも、「使用灯数・照明位置・当て方」をAIに提案してもらいます。このほうが安定します。
リムライティング
後ろ側から光を当てて髪、肌、衣装の輪郭を浮かび上がらせます。


添付画像に対して、以下に指定する照明技術(ライティング)を適用させてください。
タスク1:
照明技術(ライティング)「リムライティング」について、
使用する灯数、照明位置・当て方、光の効果・影の形を提案してください。
タスク2:「タスク1」で構築した照明効果を添付画像に適用させて、高精細なイラストを出力してください。
| ライティング名 | 想定される照明 |
|---|---|
| リムライティング(単独使用) | 使用灯数:1灯 キーライト:真後ろ〜後ろ45°(カメラから見えない位置、高さは頭部付近) フィルライト:正面からは一切当てない(輪郭だけ光らせる) |
リムライトのポイントは、被写体や衣装の輪郭に光が入ることです。この辺りはAIが意識的に効果を強めてくれています。しっかり理解してくれているんですね。
単独使用の場合は、正面側からの光がないので正面側は暗くなります。リムライトは、他のライティングに足してあげて使うこともできるライティングです。
スプリットライティング
真横から光を当てて顔の左右で大きくコントラストをつけるライティングです。


添付画像に対して、以下に指定する照明技術(ライティング)をキャラクターのみに適用させてください。
タスク1:
照明技術(ライティング)「スプリットライティング」について、
使用する灯数、照明位置・当て方、光の効果・影の形を提案してください。
タスク2:「タスク1」で構築した照明効果を添付画像に適用させて、高精細なイラストを出力してください。
| ライティング名 | 想定される照明 |
|---|---|
| スプリットライティング | 使用灯数:1灯 キーライト:顔から真横90°(目線高さ〜やや上) |
これについては、「キャラクターのみに」という指定をしておいたほうがいいです。この指定をしない場合、背景も同時に2分割されてしまって不自然になることが多いです。
ショートライティング
人物が斜めに配置され、奥側に光が当たる方法です。


添付画像に対して、以下に指定する照明技術(ライティング)を適用させてください。
タスク1:
照明技術(ライティング)「ショートライティング」について、
使用する灯数、照明位置・当て方、光の効果・影の形を提案してください。
タスク2:「タスク1」で構築した照明効果を添付画像に適用させて、高精細なイラストを出力してください。
| ライティング名 | 想定される照明 |
|---|---|
| ショートライティング | 使用灯数:2灯 キーライト:顔の狭い側に光が当たるよう35〜45°横・やや高め フィルライト:逆側から弱め(キーの1/4程度) |
キャラクターが真正面を向いていると再現が難しいため、元画像が正面を向いている場合、「カメラアングルを”three quarter profile”に変更する」などの指示も加えるとよいです。
ブロードライティング
人物が斜めに配置され、手前に光が当たる方法です。


添付画像に対して、以下に指定する照明技術(ライティング)を適用させてください。
タスク1:
照明技術(ライティング)「ブロードライティング」について、
使用する灯数、照明位置・当て方、光の効果・影の形を提案してください。
タスク2:「タスク1」で構築した照明効果を添付画像に適用させて、高精細なイラストを出力してください。
| ライティング名 | 想定される照明 |
|---|---|
| ブロードライティング | 使用灯数:2灯 キーライト:顔の広い側に光が当たるよう35〜45°横・やや高め フィルライト:逆側から弱め(キーの1/4程度) |
ショートライティング同様に、キャラクターが真正面を向いていると再現が難しいので、元画像が正面を向いている場合には、「カメラアングルを”three quarter profile”に変更する」などの指示も加えるとよいです。
クラムシェルライティング
被写体の正面に2つのライトをおいて挟むようにして照らします。影の印象が薄まり、瞳のうるうる感、キャッチライト感が強まります。クローズアップ構図で本領発揮するライティングです。


添付画像に対して、以下に指定する照明技術(ライティング)を適用させてください。
タスク1:
照明技術(ライティング)「クラムシェルライティング」について、
使用する灯数、照明位置・当て方、光の効果・影の形を提案してください。
タスク2:「タスク1」で構築した照明効果を添付画像に適用させて、高精細なイラストを出力してください。
| ライティング名 | 想定される照明 |
|---|---|
| クラムシェルライティング | 使用灯数:2灯 キーライト:正面・やや高め(40〜50°上) フィルライト:正面真下45°(顎の下にレフorソフトボックスを置く) |
ちなみに以下は失敗の作例なのですが、イラスト内にライトまで描写されてしまいました。

ただ、面白いのがちゃんとライティングを理解していることが分かりました。これは上にソフトボックスという照明と下にはレフ版が置かれている状態です。これはまさにクラムシェルライティングを再現する場合の1つの手法です。Nano Banana Proがちゃんとこういうものを想像しているんだなぁって思えて楽しかったです。
またこのように、照明機材で挟んでいる状態でイラストが生成される場合があるので、「照明機材は画面内に入れないこと」という指示を加えておいてもいいかもしれません。
キアロスクーロ
極端に暗い状態で強い光を当ててドラマチックな光を再現します。

元イラスト(NovelAI)

Nano Banana Proの生成結果

添付画像に対して、以下に指定する照明技術(ライティング)を適用させてください。
タスク1:
照明技術(ライティング)「キアロスクーロ」について、
使用する灯数、照明位置・当て方、光の効果・影の形を提案してください。
タスク2:「タスク1」で構築した照明効果を添付画像に適用させて、高精細なイラストを出力してください。
| ライティング名 | 想定される照明 |
|---|---|
| キアロスクーロ | 使用灯数:1灯 キーライト:45〜70°横・高め(強い単一光源) フィルライトなし、背景暗く |
フラットライティング
両側から均等に光を当てて影を消すライティングです。AIイラストの場合は完全にフラットになって平坦なイラストを作りたい時に活用できます。


添付画像に対して、以下に指定する照明技術(ライティング)を適用させてください。
タスク1:
照明技術(ライティング)「フラットライティング」について、
使用する灯数、照明位置・当て方、光の効果・影の形を提案してください。
タスク2:「タスク1」で構築した照明効果を添付画像に適用させて、高精細なイラストを出力してください。
| ライティング名 | 想定される照明 |
|---|---|
| フラットライティング | 使用灯数:2灯 キーライト:カメラ左45°・目線高さ フィルライト:カメラ右45°・同強さ(完全に影を消す) ※またはリングライト1灯 |
ハイキーライティング
イラスト全体をハイキーにするライティングです。

元イラスト(NovelAI)

Nano Banana Proの生成結果
添付画像に対して、以下に指定する照明技術(ライティング)を適用させてください。
タスク1:
照明技術(ライティング)「ハイキーライティング」について、
使用する灯数、照明位置・当て方、光の効果・影の形を提案してください。
タスク2:「タスク1」で構築した照明効果を添付画像に適用させて、高精細なイラストを出力してください。
| ライティング名 | 想定される照明 |
|---|---|
| ハイキーライティング | 使用灯数:4灯 キーライト:正面やや高め フィルライト:左右対称に強め(キーとほぼ同等) 背景ライト:背景をハイキーに2灯(左右45°) |
ローキーライティング
イラスト全体をローキーにします。わずかに漏れた光のみでキャラクターが浮かび上がります。

元イラスト(NovelAI)

Nano Banana Proの生成結果
添付画像に対して、以下に指定する照明技術(ライティング)を適用させてください。
タスク1:
照明技術(ライティング)「ローキーライティング」について、
使用する灯数、照明位置・当て方、光の効果・影の形を提案してください。
タスク2:「タスク1」で構築した照明効果を添付画像に適用させて、高精細なイラストを出力してください。
| ライティング名 | 想定される照明 |
|---|---|
| ローキーライティング | 使用灯数:2灯 キーライト:45°横・やや高め(レンブラント風に強く当てる) フィルライト:極弱(キーの1/8以下)or なし 背景ライト:暗く落とす |
イラストの雰囲気に合わせたライティング技法の選び方
続いて、どんなイラストにどんなライティングを指定すると合いやすいか、わたしのおすすめを紹介します。

ざっくりとした目安ですが、仕上げの方向性を決める時に便利です。



今回は、Nano Banana Proで活用できるライティング技法を紹介しました。
紹介したライティングは、どれも実際の写真撮影の現場で使われているものです。わたし自身もモデル撮影でよく使ってきた技法ばかりなので、それがAIのイラストで再現できるというのは、いまだにちょっと不思議な感覚があります。
Nano Banana Proが登場してからは、個人的に「NovelAIとNano Banana Proの組み合わせが最強なのでは?」と思うくらい、相性の良さを感じています。
わたしがNovelAIで気に入っているのは、とにかく生成が爆速なところです。それとトレードオフで描写が甘くなってしまうことはありますが、それをNano Banana Proが補ってくれる感じです。指の修正などもすぐできるので、まずNovelAIでサッとイラストを作って、気に入ったものが出たらNano Banana Proで丁寧に仕上げていく、という流れがすごく使いやすいと思っています。
Nano Banana Proを使ったAIイラストの加筆・修正方法についても、また別の記事でまとめるつもりです。
写真のライティングもそうですが、しっかり光を作りこんで撮った写真って、高級感というか、「ちゃんとコストをかけて撮った一枚」という感じが出ます。AIイラストも同じで、ライティングを加えるだけで仕上がりがワンランク上がるように感じています。
本記事のプロンプトが、ライティングの参考になれば嬉しいです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
コメントもお待ちしています!ぜひぜひ気軽に残していってください。
以下の記事にて、Nano Banana Proを活用したAIイラストの加筆修正テクニックを紹介しています。そのまま使えるプロンプトを掲載していますので、ぜひご活用ください。




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