ガバガイって何のこと? —— ウサギ雑貨から哲学に飛び込んだ話

ガバガイって何のこと? —— ウサギ雑貨から哲学に飛び込んだ話 思考実験

きっかけは文房具?「ガバガイ」との不思議な出会い

かわいすぎる“Gavagai!”シリーズ

最近、ちょっと気になる文房具を見つけました。

「QurioStore」というサイトで偶然見かけた「Gavagai!」シリーズです。

ウサギをモチーフにしたノートや付箋、シャーペンなどが並んでいて、
デザインがとにかくゆるくてかわいいです。

こういう“ちょっとクセのあるかわいさ”にやられます

でも、ひとつだけ気になることがありました。
商品名になっている「Gavagai!」って、なんなんでしょう?
どういう意味?どこから来たの?と、じわじわ気になってきました。

というわけで、よく読んでみたところ
まさかの展開が待っていました。

調べてびっくり、まさかの哲学ネタ

公式サイトの解説を見てみると、
「Gavagai」は、哲学の思考実験から取られた言葉なんだそうです。

そのテーマがこちら。

未知の言語圏で、誰かがウサギを指さして「ガバガイ!」と叫んだとき、
その言葉は“ウサギ”を意味しているのか?それとも何か別のこと?

QurioStore

…ちょっと面白そうです。

気になるので、深掘りしてみた

試しにAIにも質問しながら「ガバガイ問題」についてちゃんと調べてみることにしました。

すると、思っていたよりずっと深い話でした。

このガバガイ問題は、こんな問いを含んでいます。

  • 言葉の“意味”って、どうやってわかるの?
  • 「意味を理解する」とは、そもそもどういうこと?

言葉って日常的に使っているものなのに、
根っこの部分はけっこう謎だらけなんですね。

そして驚いたのが、これがAIの言語理解にもつながってくるという点でした。

今回はそんな「ガバガイ問題」を、できるだけわかりやすく紹介しながら、
言葉の意味や、AIとのやりとりに潜む“理解って何?”というテーマについて、
真面目すぎず、ゆるく考えてみたいと思います。

「ガバガイ問題」って何?哲学だけど身近な思考実験

“ガバガイ”って、意味ありげで気になる言葉

“Gavagai(ガバガイ)”という謎の言葉。

この言葉、実はアメリカの哲学者ウィラード・ヴァン・オーマン・クワインが提案した言語と意味にまつわる思考実験がもとになっています。

ここではできるだけ分かりやすく、この「ガバガイ問題」の中身を見ていきます。

旅先で「ガバガイ!」と叫ばれたら?

想像してみてください。
見知らぬ土地を旅していると、そばにいた人が草むらを指さしてこう叫びます。

ガバガイ!

視線の先には、ぴょんぴょん跳ねるウサギ。
思わず「あっ、“ガバガイ”ってウサギのことかな」と思ってしまいませんか?

でも、それって本当に合っているんでしょうか?
言われてみると、ちょっと不安になります。

その人は、こう言いたかったのかもしれません。

  • 「あれ、動いた!」という驚き
  • 「跳ねてるやつ」っていう動作
  • 「今、視界に入ったあの動物」
  • もしかして「かわいい〜」みたいな感情?

同じ言葉でも、指してるものが同じとは限らない。
そんな疑問が、ガバガイ問題の入り口になります。

ガバガイ=ウサギとは限らないらしい

この「ガバガイ」、本当にウサギのことだったんでしょうか?
それとも、全然ちがう意味だった?

可能性はひとつじゃありません。

可能性意味の例
ウサギという動物そのもの
ウサギが跳ねている動き
驚いたときのリアクション
今だけ見えているその瞬間
似たような形の動物すべて

どれも正しそうだけど、どれもハッキリとは言いきれません。

ここでクワインが投げかけたのは、こんな問いでした。

言葉の意味って、外から見てるだけでは決まらないんじゃない?

言葉の意味を知るには、

  • 発言した人の意図
  • 見えているもの
  • その場の文脈

これら全部が重ならないと、本当の意味はつかめない。
この考え方を「翻訳の不確定性」と呼ぶそうです。

見たもの、聞いた音、話す人の意図。全部そろわないと、“本当の意味”はなかなか分からない、ということですね。

お節介AI先生がゆるっと分かりやすく解説

アイリー(AI)
アイリー(AI)

はい、注目〜。これが「ガバガイ問題」のポイントです。

お節介先生のひとことコラム

誰かが「ガバガイ!」って言ったとき、それが

・ウサギのことなのか
・動いてた何かのことなのか
・ただの驚きの声なのか

見てるだけじゃ分からないんです。
言葉って、文脈がないとほんとに曖昧なんですよ〜。

「お節介な先生風に教えて!」とプロンプトを打ち込んでAIに解説してもらいました。
哲学って難しく見えるけど、こういう問いかけは、日常の「あれ、これってどういう意味?」と地続きなんですよね。


意味って、誰がどうやって分かるんでしょう。AIにも分かるんでしょうか。
ここから先は、AIの言葉の理解にも関わってくる話につながっていきます。

AIとガバガイ問題?言語理解のモヤモヤした関係

AIってほんとに言葉の意味をわかってるの?

最近は、ChatGPTのようなAIが身近になってきましたね。
会話も自然だし、文章の読み書きもスムーズです。まるで人間みたいに感じることもあります。

でもここで、ちょっと気になることがあります。
AIって、言葉の中身をきちんと把握できているのでしょうか?

AIの中では「確率」で意味を出してるだけ

実はAIは、「意味そのもの」を理解しているわけではありません。
やっていることは、次に来そうな言葉を“確率”で予測しているだけです。

たとえば……

  • この文脈だと「ウサギ」が来そう
  • 「ウサギ」と一緒によく出てくる単語は?
    → 「もふもふ」「かわいい」「ニンジン」など
  • じゃあ、「かわいいウサギがニンジンを…」と続ければ自然に見えるかも

こうした“よくある並び”を再現しているだけで、
本当の意味を理解して使っているわけではないんですね。

ただし、それをめちゃくちゃ高度にやってるってことですよね。

会話から見えた“理解してる風”のからくり

わたし「大規模言語モデルって、確率が高い答えを出してるだけなんですね。
それで意味を“理解してる風”に見えるんですね?」

ChatGPT「その通りです。でもそれは“理解してるように見える”だけで、
実際には意味そのものを掴んでいるとは言えないんです」

これはわたしがChtGPTと会話していたときのやり取りです。

このやり取りがまさに、ガバガイ問題とそっくりです。
「一番それっぽいものを答えている」けど、それが本当に正しいとは限らない。
AIもまた、「ガバガイ=ウサギ」という可能性を選んでるだけ、という感じなんですね。

AIがガバガイをどう解釈するかやってみた

では実際に、AIが「ガバガイ!」という未知の言葉に出会ったらどうなるのか。
その推論プロセスをシミュレーションしてみました。

📌 AIの推論ステップ

  • ウサギが跳ねた → 現地の人が「ガバガイ!」と叫んだ
  • 過去のパターンを探す
    • 動物+驚き → 名前?動き?感情?
  • 一番確率が高そうなものを選ぶ
    • 「ガバガイ=ウサギ」が優勢
  • でも、本当は「びっくりした」の意味かもしれない
  • 結果:AIは“それっぽい”意味を選ぶけど、正解は分からない

AIの推論テーブル:ガバガイの候補

候補意味の種類推定確率
ウサギ(名詞)動物名62%
驚きの声(感嘆詞)感情表現20%
跳ねる(動詞)動作10%
「今見えたもの」認知ラベル5%
「写真撮るチャンス!」行動の合図3%

こんなふうに、AIは“もっともらしい”意味を出しますが、
それが本当に合っているかは分かりません。

「意味を理解しているように見せかけているだけ」
そんな側面が、ここにはあります。

ガバガバとケーキでAIが混乱した話

ChatGPTとこんなやりとりもありました。

わたし「“ガバガバが椅子の上でケーキを食べてる絵を描いて”って言われたら、AIは混乱しない?」

ChatGPT「最初は“ガバガバ=ウサギ”と判断して、ウサギがケーキを食べる絵を描こうとすると思います。でも文脈が変なら、別のキャラとして解釈することもあり得ますね」

このやりとりからわかるのは、
AIはその場で“学び直す”ことはしないということ。

すでに持っている学習データの中で、
「今の流れならこの意味かな?」と解釈を少し調整して出しているだけなんです。

つまり、AIはこんな感じで動いています。

  • 重み(過去の学習結果)は固定
  • 文脈に合わせて“意味の推定”を微調整
  • でも、新しく学習し直すわけではない

これはある意味、勝手に上書きしないように設計されているということなんですね。

哲学実験「中国語の部屋」とAIの不思議な共通点

ここから、話はちょっと哲学寄りになります。
「中国語の部屋」という有名な思考実験をご存じでしょうか?

内容はこんな感じです。

ある人が、中国語をまったく知らないとします。
でも、完璧なマニュアルがあって、それに従えば正確な返答ができる。
ではその人は、中国語を「理解している」と言えるのでしょうか?

この問い、AIのしくみとそっくりなんです。

  • 応答はできる
  • でも、“意味”を本当にわかっているのか?

このズレが、「AIの言語理解は本物か?」というモヤモヤに繋がります。

言葉って、思ったよりも奥が深い。
そして、AIがその深さにどう立ち向かっていくのか。
ここは人間とAIの大きな違いになるのかもしれません。

「意味を理解する」って、AIと人間でどう違う?

人間は「体験」で意味を育てている

ここで少し立ち止まってみます。
「意味を理解する」って、そもそもどういうことなんでしょうか?

たとえば「ウサギ」と聞いたとき、
人間はその言葉に対していろいろな“体験”を思い出します。

  • ウサギの毛を触ったときのふわふわした感触
  • 小学校で飼育していたときの思い出
  • 思わず「かわいい」と声に出した瞬間の気持ち

こうした感覚や記憶が重なって、「ウサギ」という言葉に深みが加わっていきます。
言葉に“自分なりの色”がついていく感じですよね。

AIには「文脈」しかないのがちょっと切ない

一方で、AIにはこうした記憶や感覚はありません。
あるのは、膨大なテキストデータだけ。

AIがやっているのはこんな感じです。

  • この文の流れなら「もふもふ」が来そう
  • 「ウサギ」と「ニンジン」はよく一緒に出てくる
  • 「かわいい」も入れておくと自然かも

つまり、意味を理解しているというよりは、
「よくあるパターン」をつなげて出力しているという感じなんです。

たとえば「ウサギはもふもふでかわいい」と書いても、
AIにとっては「そう書かれている確率が高かったから選んだ」だけ。

でも人間だって、ちゃんと理解してるとは限らない

「人間って、ほんとに“意味”を理解しているんでしょうか?」

例えば、赤ちゃんです。
言葉を覚えはじめたばかりの頃って、まだ“意味”なんて分かっていません。

ウサギを見ているときに、親が「スイカ」と言ったとします。
すると赤ちゃんは、そのあともしばらくのあいだ、ウサギのことを「スイカ」って呼び続けたりします。あるあるですよね。

でも、いろんな場面で違う言葉を聞いたり、ものを見たりしていくうちに、
ウサギとスイカは別だと、少しずつ気づいていきます。

この流れって、ちょっとだけAIと似ているかもしれないなと思います。
最初はただの音や文字。
そこにたくさんのデータや体験が加わっていって、少しずつ、言葉のニュアンスが形になってくる感じです。

つまり、AIも人間も最初から“正しい意味”を持っているわけじゃないんですよね。
情報を集めて、関連づけて、ようやく「それっぽさ」にたどりつく。

そう考えると、私たちが当たり前だと思っている“意味の理解”も、
実はそんなに確かなものじゃないのかもしれません。
意外と、AIと人間の距離ってそんなに遠くないのかもしれません。

「意味」ってまだまだ答えのないテーマ

ここまでの話をまとめると、ざっくりこうなります。

観点AI人間
理解のしくみ確率にもとづいた予測五感や経験による感覚的なつながり
「意味」について文章中の出現パターンをなぞる体験を通して“意味らしさ”を感じ取る
確実性高そうに見えて実はあいまい自分では納得しているけど説明はむずかしい

結局、「意味を理解するとは何か?」という問いに、
今のところ確かな答えはありません。

でもそれが、またおもしろさでもあると思います。

意味の本質を考えると、意外と深かった

たまたま見かけたウサギの文房具。

「ガバガイ!」という言葉の由来を知りたくて調べてみたら、
そこから哲学やAI、言葉の本質にまで広がっていきました。

ちょっとしたきっかけでめっちゃ色々と調べてしまいました。
「意味って何だろう?」という問いは、しばらく頭に残ってずっと考えていそうです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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