火山は、美しい自然の象徴でありながら、一瞬にして大災害を引き起こす存在でもあります。しかし、「どの火山がどれくらい危険なのか?」を正確に判断するのは意外と難しいですよね。
見た目の迫力だけでは測れず、過去の噴火の規模や頻度、周辺の人口、さらには二次災害のリスクまで考慮しなければなりません。
そこで、客観的な視点から火山の危険度を評価するために、AIを活用した分析を行いました。噴火の規模を示す VEI(火山爆発指数) や、噴火頻度、周辺人口、二次災害のリスク など、さまざまな要素を組み合わせ、危険度を数値化したのです。
では、具体的に どうやって火山の危険度を評価したのか? その方法を詳しく見ていきましょう。
どうやって火山の危険度を評価したのか?
8つの評価基準 – 火山の危険度を数値化!
火山の危険度は、見た目だけではわかりません。
ただ、「なんとなくヤバそう」という感覚だけでは、どの火山が本当に危険なのか判断しづらいですよね。
そこで、AIを使って客観的に評価するため、8つの評価基準 を設定しました。
まず、火山の爆発力を示す VEI(火山爆発指数)。
これは、過去の噴火の規模をもとに数値化したもので、VEIが大きいほど爆発の威力が強くなります。
次に、噴火頻度。噴火の回数が多い火山ほど、当然ながら次の噴火の可能性も高くなります。
そして、周辺にどれくらいの人が住んでいるかを示す 周辺人口。
火山そのものの威力が強くても、人がいなければ被害は少なくなります。
逆に、大都市のそばにある火山は、影響範囲が広がりやすいというわけです。
さらに、噴火による 二次災害のリスク も重要なポイントです。
例えば、津波やラハール(火山泥流)などは、噴火そのものよりも大きな被害をもたらすことがあります。
AIが火山を数値化!ランキングを作成
火山のリスクを正しく評価するために、AIはこの 8つの項目を点数化 しました。
評価は 1〜5点 で行い、さらに「どの項目が特に重要か?」を考えて 重み付け も加えています。
例えば、VEIが「8」の火山と「3」の火山では、爆発力がまったく違います。
また、人口密集地にある火山のほうが被害が大きくなるので、周辺人口の影響は2倍 の重みをつけました。
こうして、すべての火山の 「総合スコア」 を算出し、ランキング化しています。
ちなみに、この算出方法によって、以下のようにポイント化されます。(例:阿蘇山)
評価項目 | 素点 (1-5) | 重み | 加重スコア | 根拠 |
---|---|---|---|---|
爆発力 (VEI) | 5 | 2 | 10 | 過去にVEI7級の破局噴火カルデラ |
噴火頻度 | 4 | 1.3 | 5.2 | 小噴火頻発し近年も活発化 |
周辺人口 | 3 | 2 | 6 | 熊本市へ直接壊滅は少ないが影響大 |
二次災害リスク | 4 | 1.6 | 6.4 | 大規模火砕流がカルデラ外到達の恐れ |
防災体制の脆弱性 | 3 | 1.2 | 3.6 | 観光地で避難整備もある程度 |
監視体制 | 2 | 1 | 2 | 気象庁監視,突発噴火リスク |
過去の被害 | 3 | 1.2 | 3.6 | 中規模被害散発,歴史破局痕跡 |
知名度・注目度 | 4 | 1 | 4 | 国内知名度高い観光地 |
最終スコア: 40.8
全ての火山の表は記事の最後にスプレッドシートのURLが貼ってありますので、興味のあるかたは御覧になってください。
では、このAIの評価をもとに、「実際にヤバい火山ランキング」 を発表していきます。

最初に紹介するのは、「意外と知られていない隠れヤバイ火山」です。
まずはこの視点から!意外と知られていない「隠れヤバイ火山」ランキング
AIが指摘!隠れた超危険火山トップ5
世界には、多くの人が知らない 「隠れた危険な火山」 が存在します。
テレビやニュースでよく取り上げられる火山に注目が集まりがちですが、本当に怖いのは、あまり知られていないのに実は危険な火山 かもしれません。
たとえば、監視体制が整っておらず、前兆が把握しにくい火山。
避難経路が少なく、いざ噴火すると周辺住民が逃げられない火山。
こうした火山は、「注目されていない」こと自体がリスクになる と言えます。
そこで、AIが 「一般の注目度は低いが、実際の危険性は高い火山」 をピックアップしました。
ここでは、隠れた超危険火山トップ5 を紹介します。
5位 アグン山(インドネシア) – バリ島の観光地を脅かす火山
Michael W. Ishak (www.myreefsdiary.com) – Original work provided by Michael W. Ishak to Delphine Ménard (uploader), CC 表示-継承 4.0, リンクによる
アグン山は、インドネシアの観光地「バリ島」 にある火山です。
観光地として有名な場所にあるため、多くの人が訪れますが、実は活発な火山活動が続いている ことはあまり知られていません。
この火山のリスクは、「空港閉鎖リスク」 と 「避難の困難さ」 にあります。
2017年の噴火では、大量の火山灰が空を覆い、バリ島の空港が閉鎖されました。
もし大型の噴火が発生すれば、観光客が孤立し、大規模な避難が必要になる 可能性があります。
4位 マヨン山(フィリピン) – 美しいが危険な火砕流の脅威
Dexbaldon – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, リンクによる
マヨン山は、「世界で最も美しい火山の一つ」 と言われています。
しかし、その美しさとは裏腹に、非常に危険な火砕流を発生させる火山 です。
特に注意が必要なのは、ラハール(火山泥流) のリスクです。
大量の火山灰が山の斜面に堆積し、大雨が降ると一気に流れ出します。
過去には、このラハールによって周辺の町が壊滅した例もあり、噴火の規模が大きくなくても被害が深刻になりやすい 火山です。
3位 フエゴ山(グアテマラ) – 予測不能な火砕流が脅威
Javier Ruata – https://www.flickr.com/photos/30949468@N02/4031240256/, CC 表示 2.0, リンクによる
フエゴ山は、中米グアテマラの首都・グアテマラシティに近い活火山 です。
2018年の噴火では、突然発生した火砕流がふもとの町を飲み込み、大きな被害をもたらしました。
特にこの火山が危険視されるのは、「予測困難な火砕流の発生」 です。
火砕流とは、高温の火山灰やガスが高速で流れ下る現象 で、発生すると数分以内に広範囲を飲み込んでしまう ため、避難がほぼ不可能になります。
フエゴ山の監視体制は整っているものの、噴火のタイミングが読みづらく、次の大噴火がいつ起こるか明確にはわかっていません。
2位 ニラゴンゴ山(コンゴ民主共和国) – 超高速の溶岩流が都市を飲み込む
Cai Tjeenk Willink (Caitjeenk) – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, リンクによる
ニラゴンゴ山は、アフリカ・コンゴ民主共和国のゴマ市(人口約67万人)に隣接する火山です。
この火山の最大の特徴は、「非常に流動性の高い溶岩」を噴出することです。
通常の溶岩流はゆっくりと進みますが、ニラゴンゴ山の溶岩は時速40km以上のスピードで流れることが記録されています。
これは人の走る速さを大きく上回るため、噴火が発生すると周辺住民の避難が極めて困難になります。
2002年1月17日の噴火では、近隣住民約35万人が避難し、ゴマ市の一部が溶岩に覆われました。
さらに2021年5月22日にも噴火が発生し、溶岩がゴマの空港に到達し、約40万人が避難する事態となりました。
現在も監視体制が十分とは言えず、次の大噴火がいつ起こるか正確に予測するのは困難な状況です。
1位 メラピ山(インドネシア) – 活動が活発なのに、監視体制が不十分な火山
Crisco 1492 – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, リンクによる
メラピ山は、インドネシアで最も活動的な火山 の一つですが、その危険性が十分に認知されているとは言えません。
ほぼ10年ごとに大噴火を繰り返し、火砕流や噴石のリスクが高い 火山であるにもかかわらず、監視体制には不安が残ります。
例えば、2010年の噴火では、避難指示が出たものの、十分な警告がなかったために300人以上が犠牲 になりました。
さらに、噴火の予測が難しく、警戒レベルの変更が頻繁に行われるため、住民の危機意識が低下しがち です。
「いつもの噴火だろう」と油断しているうちに、大規模な噴火が発生するリスク があります。
活発な火山でありながら、警戒体制の不備が被害を拡大させる可能性がある火山 として、特に注意が必要です。
🏆 実は危険な火山ランキング
順位 | 火山名(国) | 地理的脆弱性 | 監視体制の不安 | 周辺人口の多さ | 一般注目度の低さ |
---|---|---|---|---|---|
1 | メラピ山(インドネシア) | 6.0 | 3.0 | 10.0 | 3.0 |
2 | ニラゴンゴ山(コンゴ民主共和国) | 6.0 | 3.0 | 8.0 | 2.0 |
3 | フエゴ山(グアテマラ) | 4.8 | 3.0 | 8.0 | 3.0 |
4 | マヨン山(フィリピン) | 4.8 | 3.0 | 8.0 | 2.0 |
5 | アグン山(インドネシア) | 4.8 | 3.0 | 8.0 | 3.0 |
「隠れヤバイ火山」を紹介しましたが、次に取り上げるのは 「噴火したら都市が壊滅する火山」 です。

大都市の近くにある火山は、被害の規模が桁違いになります。
では、「もし噴火したら、何百万人が影響を受ける火山」 を見ていきましょう。
人が多いからヤバイ!「噴火したら超大都市が被害を受ける火山」
人口密集地にある火山は、リスクが段違い
世界には、大都市のすぐそばにある火山 がいくつもあります。
こうした火山が噴火すると、被害の規模が桁違いになります。
交通がマヒし、建物が崩れ、ライフラインが断たれる。さらに、大量の避難者が発生し、社会全体が大混乱に陥るでしょう。
さらに、火山灰の影響も深刻です。
飛行機の運航が停止し、都市機能がマヒするだけでなく、降灰が長期間にわたって人々の生活を脅かします。
今回は、「周辺人口が多く、噴火したら影響が広範囲に及ぶ火山」 をランキング形式で紹介します。
5位 富士山(日本) – 東京への降灰リスク
Mocchy – 原版の投稿者自身による著作物 (Original text: 本人撮影。), パブリック・ドメイン, リンクによる
富士山は、日本の象徴として有名ですが、火山としてのリスクも無視できません。
過去の宝永噴火(1707年) では、大量の火山灰が江戸(現在の東京)にも降り積もりました。
もし同規模の噴火が再び発生すれば、首都圏の交通網やインフラが大混乱に陥る でしょう。
特に電線や変電所に火山灰が付着すると、停電が発生し、日本経済に深刻なダメージを与える可能性 があります。
また、成田や羽田などの主要空港が機能停止すれば、物流やビジネスにも大きな影響が出る でしょう。
4位 メラピ山(インドネシア) – 300万人都市のすぐそばで、避難が困難な火山
Crisco 1492 – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, リンクによる
ジョグジャカルタ都市圏(約300万人) に隣接するメラピ山は、都市型火山災害の典型例 と言えるでしょう。
この火山の最大の問題は、噴火の頻度が高く、避難が非常に困難なこと です。
2010年の噴火では、火砕流が高速で山を下り、多くの住民が逃げ遅れて犠牲になりました。
また、火山灰の影響で空港が閉鎖され、ジョグジャカルタ市全体の交通網が混乱 しました。
メラピ山はほぼ絶え間なく活動を続けているため、噴火警戒レベルが頻繁に変動 します。
「避難するべきかどうか」が住民にとって曖昧になりがちで、逃げるタイミングを誤る危険性 があります。
都市機能の停止と避難の難しさ という二重のリスクを抱えた、危険度の高い火山です。
3位 ヴェスヴィオ山(イタリア) – ナポリ都市圏を脅かす火山
I, Pastorius, CC 表示 2.5, リンクによる
ヴェスヴィオ山は、紀元79年のポンペイ壊滅で有名な火山 ですが、そのリスクは過去の話ではありません。
現在もなお活動を続けており、ナポリ都市圏(300万人以上)が噴火の影響を直接受ける可能性 があります。
最も懸念されるのは、火砕流と降灰による都市機能の麻痺 です。
ポンペイの噴火では、高温の火砕流が一瞬で町を飲み込みました。
もしナポリ周辺で同規模の噴火が起これば、住民の避難が間に合わない可能性 があります。
また、大量の火山灰が降れば、交通インフラが停止し、長期間にわたる混乱が予想されます。
2位 ポポカテペトル(メキシコ) – 900万人都市を脅かす火山
PopoAmeca2.JPG: AlejandroLinaresGarciaderivative work: Ricraider (talk)by ricraider – PopoAmeca2.JPG, CC 表示-継承 3.0, リンクによる
ポポカテペトル火山は、メキシコ最大の都市「メキシコシティ(人口900万人以上)」のすぐそばにある活火山 です。
この火山の最大の懸念点は、「都市機能に直接的なダメージを与える可能性が高いこと」 です。
もし大規模噴火が発生すれば、火山灰がメキシコシティ全体を覆い、交通網のマヒ、電力供給の停止、飲料水の汚染などが発生する恐れがあります。
また、火砕流が発生した場合、周辺の町が壊滅する危険性 もあります。
メキシコ政府は避難計画を策定していますが、都市規模が大きすぎるため、実際に噴火が起こった場合の完全な対応は困難 と考えられています。
1位 イエローストーン(米国) – 米国全土に影響を与えるスーパー火山
Miguel Hermoso Cuesta – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, リンクによる
イエローストーンは、一般的な火山とは異なり、「スーパー火山」 に分類されます。
その規模は桁違いで、もし噴火すれば、米国だけでなく地球規模で影響を及ぼす可能性 があります。
この火山が特に危険なのは、「破局噴火(VEI 8級)」の可能性があること です。
過去の噴火では、火山灰が数千km離れた地域にも降り、気候が変動するほどの影響を及ぼしました。
もし現代で同じ規模の噴火が発生すれば、
- 米国西部の都市が壊滅的な被害を受ける
- 火山灰が全米に降り積もり、交通と経済が麻痺
- 全球的な気候変動による食糧危機
など、影響は計り知れません。
幸いにも、現在の監視データでは差し迫った噴火の兆候はない とされていますが、未来永劫安全とは言い切れません。
大都市の近くにある火山は、噴火の影響が広範囲に及び、避難も難しくなります。
しかし、危険な火山はこれだけではありません。

次は、「過去に大規模な被害を出した火山ランキング」 を見ていきます。
「過去に超ヤバかった火山」ランキング!
史上最悪の火山災害を振り返る
これまで、「もし噴火したら大変なことになる火山」 を紹介してきました。
しかし、実際に過去に大規模な噴火を起こし、壊滅的な被害をもたらした火山 も多く存在します。
これらの火山は、火山灰で都市が埋まり、津波が発生し、気候変動を引き起こすほどの影響 を与えました。
今回は、「歴史上、最も壊滅的な被害を出した火山」 をランキング形式で紹介します。
5位 タンボラ(インドネシア) – 7万人以上が犠牲、地球の気候まで変えた噴火
1815年に起こったタンボラ山の噴火は、記録上最大級の火山噴火と言われています。
この噴火により、直接的な被害で約1.2万人、噴火後の気候変動による飢饉・疫病で約6万人が死亡しました。
特に深刻だったのは、「火山の冬」と呼ばれる現象です。
火山灰が成層圏に到達し、翌年の1816年は「夏のない年」と呼ばれる異常気象を引き起こしました。
ヨーロッパや北米では異常気象で農作物が育たず、大規模な食糧不足が発生。
噴火の影響が地球規模にまで広がった、まさに最悪の火山災害でした。
4位 ヴェスヴィオ山(イタリア) – ポンペイを埋め尽くした噴火
NASA/ISS Expedition 4 crew member – http://eol.jsc.nasa.gov/scripts/sseop/photo.pl?mission=ISS004&roll=E&frame=5344, パブリック・ドメイン, リンクによる
紀元79年、ヴェスヴィオ山の噴火 によって、古代都市ポンペイとヘルクラネウムが壊滅 しました。
火山灰と火砕流が一瞬で町を飲み込み、推定1.6万人以上が犠牲 になったとされています。
この噴火の特徴は、火砕流の速さ と 降灰の厚さ です。
住民が逃げる間もなく、街全体が埋没し、火山灰の下に保存される形で現代まで残ることになりました。
ナポリ近郊に位置するため、もし同規模の噴火が再び起こった場合、現在でも甚大な被害が予想される火山 です。
3位 ネバド・デル・ルイズ(コロンビア) – 町ごと消えたラハール災害
U.S. Geological Survey – “Volcano World” subpage page from the University of Oregon, image licensing confirmation on that page., パブリック・ドメイン, リンクによる
1985年、コロンビアのネバド・デル・ルイズが噴火しました。
噴火の規模自体はそこまで大きくありませんでしたが、「ラハール(火山泥流)」が町を消し去るという最悪の被害を引き起こしました。
火山の熱で山頂の氷河が溶け、大量の泥流となって山を駆け下りました。
この泥流は時速50km以上のスピードで流れ、ふもとの町アルメロを直撃。
結果として、わずか数分で約2.3万人が命を落とす大惨事となりました。
2位 イエローストーン(米国) – 過去の破局噴火が地球を変えた
Brocken Inaglory – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, リンクによる
イエローストーンは、「過去に地球規模の異変を引き起こした火山」 です。
これまでにVEI8(破局噴火)クラスの巨大噴火を3回も記録しており、そのたびに地球の気候が激変 しました。
例えば、最も新しい約64万年前の噴火では、北米全域が火山灰に覆われ、地球の平均気温が大幅に低下した ことが研究で明らかになっています。
もし現代で同じ規模の噴火が発生すれば、
- 米国の広範囲が火山灰に覆われる
- 大気中の灰が日光を遮り、長期的な寒冷化を引き起こす
- 農作物が育たなくなり、世界的な食糧不足が発生
といった事態が想定されます。
「歴史的に見ても、いずれ噴火する可能性がある」 という点を考えれば、長期的な監視が不可欠です。
1位 クラカタウ火山(インドネシア) – 史上最悪級の噴火と巨大津波
flydime – Krakatau (Krakatoa, Krakatao) / Indonesia, Sunda Straits, CC 表示 2.0, リンクによる
1883年、クラカタウ火山がVEI6クラスの巨大噴火を引き起こしました。爆発による衝撃波は約4,800km先のオーストラリアやモーリシャスでも観測され、記録上最も遠くまで聞こえた爆発音とされています。また、噴火に伴い約20㎦もの火山灰と岩石が大気中に放出され、成層圏に到達したエアロゾルが全球規模の気温低下を引き起こしました。
しかし、最も甚大な被害をもたらしたのは巨大津波でした。噴火による山体崩壊と爆発的な衝撃によって発生した津波は、最大40mの高さに達し、インドネシアの沿岸部を壊滅。3.6万人以上が死亡し、被害は遠く南アフリカの海岸にまで及びました。
この大噴火によってクラカタウ島の大部分が消滅し、その後、海底火山の活動によって「アナク・クラカタウ(クラカタウの子)」と呼ばれる新しい火山島が形成されています。

次は、「総合ランキングトップ5」 を発表します。
そして… 総合で最もヤバイ火山ランキングTOP5!
AIが決定!地球上で最も危険な火山はどこ?
これまで、「意外と知られていない火山」「都市に影響を与える火山」「過去に甚大な被害を出した火山」など、さまざまな視点からランキングを紹介してきました。
では、すべての要素を総合的に考えたとき、最もヤバイ火山はどこなのか?
ここでは、噴火規模・噴火頻度・周辺人口・二次災害リスク・監視体制の不安・歴史的被害 など、あらゆる要素を総合的に評価し、「総合危険度TOP5」 を発表します。
5位 ポポカテペトル(メキシコ) – 首都圏を直撃する可能性のある火山
PopoAmeca2.JPG: AlejandroLinaresGarciaderivative work: Ricraider (talk)by ricraider – PopoAmeca2.JPG, CC 表示-継承 3.0, リンクによる
総合スコア | 噴火規模 | 二次災害 |
---|---|---|
41.8 | VEI 5 | 火砕流・降灰 |
ポポカテペトルは、メキシコシティ(人口900万人以上)の近郊に位置する火山 であり、都市に最も影響を及ぼす可能性が高い火山のひとつです。
もし大規模な噴火が発生すれば、火山灰が首都圏全体に降り注ぎ、インフラが寸断されることで、社会機能が完全にマヒする ことが予測されています。
この火山は、過去数十年にわたって頻繁に噴火を繰り返しており、現在も活動が続いている ため、今後数年以内に大噴火が起こる可能性は決して低くない でしょう。
また、火砕流が発生した場合は、都市の一部が壊滅する危険性 もあるため、特に注意が必要な火山です。
4位 フエゴ山(グアテマラ) – 予兆なしに都市を襲う火砕流
Javier Ruata – https://www.flickr.com/photos/30949468@N02/4031240256/, CC 表示 2.0, リンクによる
総合スコア | 噴火規模 | 二次災害 |
---|---|---|
44.1 | VEI 4 | 火砕流・ラハール |
フエゴ山は、グアテマラの首都近郊に位置し、活発な噴火を繰り返している火山 です。
2018年の噴火では、火砕流が周辺の村を襲い、突発的な噴火の危険性が改めて明らかになりました。
この火山が特に恐れられる理由は、「噴火の予測が非常に難しい」こと。
活動が活発であるため、住民が日常的な小規模噴火に慣れてしまい、警戒が薄れるタイミングで大噴火が発生する というリスクがあります。
さらに、首都圏に近いため、噴火による影響を受ける人の数が多く、都市機能の麻痺や空港閉鎖などの二次災害リスク も高いのが特徴です。
3位 イエローストーン(米国) – 「もし」噴火すれば人類の未来を変える
Brocken Inaglory – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, リンクによる
総合スコア | 噴火規模 | 二次災害 |
---|---|---|
44.7 | VEI 8 | 全球気候変動 |
イエローストーンは、単なる火山ではなく、地球規模の影響を持つスーパー火山 です。
これまでに3回の破局噴火 を引き起こし、いずれも全球的な気候変動 を伴いました。
もし再び噴火すれば、米国の大部分が壊滅し、世界中で気温低下と農業危機が発生する 可能性があります。
過去の噴火では、大気中に放出された大量の火山灰が成層圏に達し、「火山の冬」と呼ばれる寒冷化をもたらしました。
現在、イエローストーンは活発なマグマ活動を示しておらず、直近の噴火リスクは低いと考えられています。
しかし、数万年のスパンで見れば、いつかは噴火する というのが科学的な見解です。
「今すぐ噴火するわけではないが、もし噴火すれば人類史上最大級の災害になる」 – これがイエローストーンの最大のリスクと言えるでしょう。
2位 メラピ山(インドネシア) – 未来に向けて最も警戒すべき火山
総合スコア | 噴火規模 | 二次災害 |
---|---|---|
45.7 | VEI 4 | 火砕流・ラハール |
メラピ山は、現在も活発に活動しており、将来的にさらなる大噴火を起こす可能性が高い火山 です。
すでに過去の噴火で多くの被害を出していますが、次の噴火ではさらに大きな影響が予測されます。
その理由は、ジョグジャカルタ都市圏の人口増加と都市の拡大 です。
今後10年、20年で都市開発が進むと、噴火の影響を受ける人口はさらに増加する でしょう。
さらに、火山活動が長期的に続く可能性があり、近い将来、VEI 5レベルの大噴火が発生する可能性 も指摘されています。
もしこの規模の噴火が発生すれば、ジョグジャカルタ全域でインフラが崩壊し、数十万人規模の避難が必要になる でしょう。
単なる活火山ではなく、これから数十年の間に「確実に対策が必要な火山」 として、特に警戒すべき火山です。
1位 クラカタウ(インドネシア) – 破壊力、津波、影響範囲すべてが最強クラス
flydime – Krakatau (Krakatoa, Krakatao) / Indonesia, Sunda Straits, CC 表示 2.0, リンクによる
総合スコア | 噴火規模 | 二次災害 |
---|---|---|
47.0 | VEI 6 | 巨大津波 |
このランキングのトップに立ったのは、インドネシアのクラカタウ火山 です。
クラカタウ火山は、歴史的な大噴火を起こしただけでなく、現在も活発な活動を続けている危険な火山です。特に2018年には、山体崩壊によって津波が発生し、インドネシア沿岸部で400人以上が死亡、1万6,000人以上が被災しました。この津波は火山の爆発によるものではなく、山の一部が海に崩落したことで発生したものであり、従来の警報システムでは検知が難しい種類の災害でした。
クラカタウ火山の噴火がもたらすリスクは、単なる爆発による直接的な被害だけではありません。津波や気候変動などの二次被害が極めて深刻であり、インドネシア沿岸部に住む数千万人の住民が影響を受ける可能性があります。
また、「アナク・クラカタウ」は過去100年以上にわたって成長を続けており、今後さらに活動が活発化する可能性があります。専門家は、再び1883年級の噴火が起こる可能性を完全には否定できないと警告しており、今後も継続的な監視が必要な火山の一つです。

実は、日本国内にも危険な活火山 が数多く存在します。
次は、日本国内で特にリスクの高い火山 について見ていきます。
日本の活火山にも注意!
世界だけじゃない、日本にも危険な火山がある
ここまで世界の危険な火山を見てきましたが、火山のリスクは海外だけの話ではありません。
実は、日本にも 「いつ噴火してもおかしくない活火山」 が数多く存在しています。
日本は 世界でも有数の火山大国 です。
111の活火山 があり、これは世界の活火山の 約7% を占める数です。
さらに、日本列島は 「火山帯」 の上にあるため、大地震とセットで火山活動が活発化することもあります。
では、日本国内で特に注意すべき火山にはどんなものがあるのでしょうか?
富士山(静岡・山梨) – 首都圏にも影響を与える火山
Alpsdake – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, リンクによる
日本で最も有名な火山といえば、やはり 富士山 です。
見た目は美しいですが、歴史的に見ても何度も噴火している活火山 であることを忘れてはいけません。
過去の 宝永噴火(1707年) では、大量の火山灰が江戸(現在の東京)にも降り積もり、日中でも真っ暗になったと記録されています。
もし現代で同じ規模の噴火が起これば、首都圏の交通・インフラ・経済に甚大な影響 を与えるでしょう。
桜島(鹿児島) – 毎日のように噴火する活発な火山
TANAKA Juuyoh (talk) – https://www.flickr.com/photos/13910409@N05/3290954157, CC 表示 3.0, リンクによる
桜島は、日本で最も活動が活発な火山 の一つです。
小規模な噴火は日常茶飯事で、年間の噴火回数は1000回を超えることもあります。
鹿児島市に近く、大きな噴火が発生すれば市街地にも大きな影響が出る可能性 があります。
また、過去には 大正大噴火(1914年) で大量の溶岩が流れ出し、桜島が大隅半島と陸続きになったという歴史もあります。
阿蘇山(熊本) – 日本最大級のカルデラを持つ火山
Sonata – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, リンクによる
阿蘇山は、カルデラ噴火の可能性がある火山 です。
カルデラ噴火とは、通常の噴火よりも規模が桁違いに大きく、一度噴火すると広範囲に被害をもたらす現象 です。
阿蘇山が過去に起こした 「阿蘇4」 と呼ばれる噴火は、日本全体に影響を及ぼすレベルの巨大噴火でした。
現代で同じ規模の噴火が発生すれば、西日本全域が影響を受ける可能性もあります。
十勝岳(北海道) – 火山泥流のリスクが高い火山
alpsdake – 投稿者自身による著作物, パブリック・ドメイン, リンクによる
北海道の十勝岳は、噴火による「火山泥流」の危険性が高い火山 です。
1926年の噴火では、大量の火山灰が川に流れ込み、火山泥流が発生。
その結果、ふもとの村が壊滅し、多くの人命が失われました。
雪が積もる冬の時期に噴火すると、大量の雪が一気に溶けて泥流となるため、特に冬の噴火には注意が必要 です。

次は、火山リスクを知り、備えることの重要性 について考えてみます。
まとめ – 火山リスクを知っておこう!
火山の脅威は、決して他人事ではない
ここまで、世界や日本の「噴火したらヤバい火山」を見てきました。
地球上には、いつ噴火してもおかしくない火山が数多く存在します。
特に、日本は 世界有数の火山国 です。
「自分が住んでいる場所は大丈夫」と思うかもしれませんが、火山の影響は噴火した地域だけでなく、広範囲に及ぶ ことがあります。
例えば、火山灰が数百km離れた都市にも降り注いだり、大規模な噴火が気候に影響を与えることもあるのです。
火山リスクにどう備えるべきか?
火山の噴火は地震と違い、ある程度予兆がある という点が特徴です。
そのため、火山リスクを意識し、日頃から正しい知識を持つことが重要です。
もし火山の近くに住んでいるなら、避難ルートの確認 や 非常用持ち出し袋の準備 をしておくことが大切です。
また、火山から離れた場所に住んでいる場合でも、火山灰による影響 を想定し、マスクや防塵メガネなどを準備しておくと安心です。
火山と共に生きるという意識を持とう
火山は恐ろしい存在ですが、その一方で 温泉や豊かな自然を生み出す恩恵 もあります。
私たちが火山のそばで生活していく以上、「火山と共存する」という意識を持つことが大切 です。
そのためにも、火山について正しく知り、危険なときは迅速に避難できる準備 をしておくことが、火山大国・日本に住む私たちに求められているのかもしれません。
集計データのスプレッドシート
参考文献
- Mason, B. G., Pyle, D. M., & Oppenheimer, C. (2004). The size and frequency of the largest explosive eruptions on Earth. Bulletin of Volcanology, 66(8), 735-748.
https://doi.org/10.1007/s00445-004-0355-9
概要:地球上で発生した最大級の爆発的噴火の規模と頻度を分析し、火山のリスク評価に役立つデータを提供しています。 - Lowenstern, J. B., Smith, R. B., & Hill, D. P. (2006). Monitoring super-volcanoes: geophysical and geochemical signals at Yellowstone and other large caldera systems. Philosophical Transactions of the Royal Society A: Mathematical, Physical and Engineering Sciences, 364(1845), 2055-2072.
https://doi.org/10.1098/rsta.2006.1813
概要:イエローストーンなどの巨大カルデラシステムにおける地球物理学的および地球化学的信号の監視について議論しています。 - Self, S. (2006). The effects and consequences of very large explosive volcanic eruptions. Philosophical Transactions of the Royal Society A: Mathematical, Physical and Engineering Sciences, 364(1845), 2073-2097.
https://doi.org/10.1098/rsta.2006.1814
概要:非常に大規模な爆発的火山噴火の影響と結果について検討し、これらのイベントが地球環境に与える影響を評価しています。 - Loughlin, S. C., Sparks, R. S. J., Brown, S. K., Jenkins, S. F., & Vye-Brown, C. (Eds.). (2015). Global volcanic hazards and risk. Cambridge University Press.
https://doi.org/10.1017/CBO9781316276273
概要:世界の火山の危険性とリスクを総合的に評価し、火山災害の軽減に向けた戦略を提案しています。 - Newhall, C. G., & Self, S. (1982). The Volcanic Explosivity Index (VEI): An estimate of explosive magnitude for historical volcanism. Journal of Geophysical Research: Oceans, 87(C2), 1231-1238.
https://doi.org/10.1029/JC087iC02p01231
概要:歴史的な火山活動の爆発的規模を推定するための指標である火山爆発指数(VEI)を提案しています。
各火山に関する情報
- クラカタウ(インドネシア)
1883年のクラカタウ噴火は、歴史上最も破壊的な噴火の一つとして知られています。現在も活動を続けており、周辺地域への影響が懸念されています。
https://volcano.si.edu/volcano.cfm?vn=262000 - ヴェスヴィオ山(イタリア)
西暦79年の噴火でポンペイとヘルクラネウムを埋没させたことで有名です。現在も活火山であり、周辺にはナポリなどの大都市が存在するため、リスクが高いとされています。
https://volcano.si.edu/volcano.cfm?vn=211020 - フエゴ山(グアテマラ)
中米で最も活発な火山の一つであり、2018年の噴火では大きな被害が発生しました。周辺地域への影響が懸念されています。
https://volcano.si.edu/volcano.cfm?vn=342090 - ポポカテペトル(メキシコ)
メキシコシティ近郊に位置し、近年も頻繁に噴火活動を続けています。人口密集地に近いため、リスクが高いとされています。
https://volcano.si.edu/volcano.cfm?vn=341090 - メラピ山(インドネシア)
インドネシアで最も活発な火山の一つであり、周辺地域に多くの住民が暮らしています。定期的な噴火が発生しており、リスクが高いとされています。
https://volcano.si.edu/volcano.cfm?vn=263250
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