
本記事では、動画生成AIでトランジション効果(シーン切り替えテク)を再現するためのプロンプトを紹介しています。アニメ動画・実写動画どちらにも活用できます。
「トランジション(transition)」というのは、動画の中でシーンとシーンをつなぐ切り替え部分のことです。
たとえば:
といったものが、代表的なトランジションです。
ざっくり言うと、「どんな風に次のシーンへつなぐか」というテクニックのことで、これは動画生成AIでも、プロンプトとして指示することで再現することができます。
Sora2の扱いも少しずつ慣れてきて、カメラワークやシーン切り替えのトランジションについてもコツが掴めてきました。
そこで今回は、動画生成AI(主にSora2)で使えるトランジションについて、現時点でわたしが試してみてわかっていることを中心に、プロンプトを動画の作例つきで紹介していきます。
Sora2では、日本語でも再現できますので、日本語と英語プロンプトの両方を紹介します。
以下記事にて、動画生成AIで使えるカメラワークのプロンプトを紹介しています。トランジションとカメラワークをセットで使うと、より効果的な動画の演出ができますので、ぜひこちらもご活用ください。
基本トランジションのプロンプト一覧
フェードイン・フェードアウトの使い方とプロンプト例
フェードアウト:実際に使ったプロンプト(Sora2)
(白フェードアウト) 映像が徐々に白くフェードアウト。 タイトル文字「透明な秋のこころ」が静かに浮かび上がる。背景は白。
トランジション | プロンプト(日本語) | プロンプト(英語) |
---|---|---|
フェードイン(Fade In) | 白フェードイン、ゆっくり白くフェードイン、柔らかくフェードイン | soft fade in from white, gradual appearance from white, fade in transition |
フェードアウト(Fade Out) | 白くフェードアウト、柔らかい白フェードアウト、穏やかにフェードアウト | fade out to white, soft fade out, scene fades gently to white |
フェードインは、白い背景から始まって、徐々に映像が現れてくるイメージです。
フェードアウトはその逆で、映像が徐々に白い背景へと切り替わっていきます。
どちらも、登場シーンの導入や、シーンの終わりに余韻を持たせたいときに活用できます。背景色は白だけでなく、黒などに変更することももちろん可能です。
フェードイン・フェードアウトは、Sora2でも比較的スムーズに再現できます。
クロスディゾルブの再現方法とプロンプト例
クロスディゾルブ:実際に使ったプロンプト(Sora2)
3カット構成。シーンの切り替えで、2秒間のクロスディゾルブ(cross dissolve transition, smooth dissolve between scenes)を取り入れる。
トランジション | プロンプト(日本語) | プロンプト(英語) |
---|---|---|
クロスディゾルブ(Dissolve) | なめらかなクロスディゾルブ、映像が溶けるようにクロスディゾルブ | cross dissolve transition, smooth dissolve between scenes |
前後の映像が、溶け合うように切り替わる効果です。Sora2で使う場合は、「2秒間のクロスディゾルブ」のように、切り替えにかかる秒数を明示するのがおすすめです。
なお、トランジションのプロンプトは、うまく機能しないこともあります。そういう時は、英語と日本語を並列表記しておくと、比較的安定して再現される印象です。
その際は、必ず「transition」という単語を入れておくようにすると、Sora2がより正確に解釈してくれます。
フラッシュトランジションの使い方とプロンプト例
ホワイトフラッシュ:実際に使ったプロンプト(Sora2)
強い光のフラッシュトランジションを取り入れて、違う街に背景が変わる。「ここの背景も絵になるなぁ」と嬉しそうに自撮りをする。
トランジション | プロンプト(日本語) | プロンプト(英語) |
---|---|---|
ホワイトフラッシュ(Flash) | 白フラッシュで切り替え、一瞬の光で転換、強い光のフラッシュトランジション | white flash transition, bright flash cut to next scene |
一瞬の強い光で場面を切り替えるトランジションです。テンポやリズムを強調したい場面に向いています。
Sora2でうまく機能させるコツは、
「フラッシュトランジションを取り入れて〜次のシーンに変わる」といったように、トランジションを挟んだ結果、何が起きるかまで書いてあげることです。そうすると、成功率が高くなります。
さらに、次のシーンが明確に決まっている場合は、「ホワイトフラッシュトランジションで背景が◯◯に変わる」といったように、背景や切り替え先をはっきり指定しておくとより安定します。
スライドトランジションの指示方法とプロンプト例
スライドアウト:実際の使い方(Sora2)
右へスライドアウト(ポップな効果音)で街の風景Aに切り替わる。
トランジション | プロンプト(日本語) | プロンプト(英語) |
---|---|---|
スライドイン(Slide In) | 右からスライドイン、下からスライドイン、滑らかにスライドイン | slide in from left, slide in from bottom, entering scene slide transition |
スライドアウト(Slide Out) | 右へスライドアウト、上方向へスライドアウト、素早くスライドアウト | slide out to right, slide out upward, exit scene sliding away |
動画の最初のテロップを退場させたり、場面転換を軽快なテンポで進めたい場合に使います。
これは比較的簡単に言うこと聞いてくれます。このスライド系は、リズムカルに動画を切り替えることが多いので、「効果音もつけて」って指示してあげると臨場感がアップします。
ちなみに「街の風景Aに切り替わる」って書くだけで、ちゃんと違う風景にしてくれます。
ズームイン・ズームアウトの使い方とプロンプト例
ズームイン:実際に使ったプロンプト(Sora2)
ズームイントランジション(zoom in transition, smooth zoom in to next scene)で、海のイメージカットへシーンが変わる。波が穏やかに揺れていて、煌めいている
トランジション | プロンプト(日本語) | プロンプト(英語) |
---|---|---|
ズームイン(Zoom In) | カメラが寄るズームイン、滑らかにズームインして次のシーンへ | zoom in transition, smooth zoom in to next scene |
ズームアウト(Zoom Out) | カメラが引くズームアウト、遠ざかるようにズームアウトして次のシーンへ | zoom out transition, zooming out revealing next shot |
ズームは、中々利便性の高いトランジションです。色々な場面でマッチすることが多いです。
登場人物に視線を集中させたいときや、重要な場面を印象づけたいとき。シーンの締めくくりや、場面の広がりを見せたいときなどにも使えます。
ブラー効果によるシーン切り替えのプロンプト
ブラー:実際に使ったプロンプト(Sora2)
なめらかなブラー効果、焦点をぼかして転換して次のシーンへ > カフェのメニュー表を画面いっぱいにいれるシーン
トランジション | プロンプト(日本語) | プロンプト(英語) |
---|---|---|
ブラー(Blur) | なめらかなブラー効果、焦点をぼかして転換して次のシーンへ | motion blur transition, blur fade into next scene |
回想シーンへの突入や、穏やかな場面でのまったりとした繋ぎに使えます。これも再現し易いです。「ブラー効果」って書いてあれば分かってくれます。
クイックカット・マッチカットの使い方とプロンプト例
マッチカット:実際に使ったプロンプト(Sora2)
マッチカットで、キャラクターが成人した姿に変わる。同じ公園で微笑んでいる。
トランジション | プロンプト(日本語) | プロンプト(英語) |
---|---|---|
クイックカット(Quick Cut) | クイックカットで切り替える | quick cut transition, sharp cut to next shot |
マッチカット(Match Cut) | 構図を合わせてマッチカット、動きを揃えてマッチカット | match cut transition, smooth match transition based on motion |
クイックカットは、シーンがパッと瞬時に切り替わる、一番オーソドックスなトランジションです。
一方、マッチカットは視覚的な共通点を活かして、別のシーンへ自然に移動させる手法です。
たとえば:
- 原始人が骨を空中に投げる → 骨が飛行機に変わり、時代が一気に現代へ
- 誰かがドアノブを回して部屋に入る → (別の場所で)ドアが開き、別の人物が現れる
といった具合に、「動き」や「構図」がつながることで、シーンをスムーズに繋ぐことができます。
なお、マッチカットには明確な視覚効果があるわけではなく、演出意図を伝えるための構成要素として使う場面が多いです。
カメラモーション系トランジションのプロンプト
次は、カメラモーション系のトランジションに使えるプロンプトを紹介していきます。
基本的な指示の出し方は、これまでと同じです。Sora2でトランジションを使いたい場合は、シーンが切り替わるタイミングで「◯◯のトランジションでシーン移行」といったように記述します。
パン・チルトなどカメラ操作トランジションの指示方法
アニメMV、高画質
0秒から5秒:踊りながら歌っている。カット割を多めに構成すること。
5秒から10秒:camera pans right to next scene, smooth pan right transition
踊っている最中にモーションブラーでシーンが切り替わり、別の背景に移動して歌う。
名称 | プロンプト(日本語) | プロンプト(英語) | 映像の印象・用途 |
---|---|---|---|
パンライト(Pan Right) | カメラを右にパンして次のシーンへ転換 | camera pans right to next scene, smooth pan right transition | カメラを右へ振って次のシーンへ移行。動きの方向性を強調し、視線の流れを自然につなぐ。 |
パンレフト(Pan Left) | カメラを左にパンして次のシーンへ転換 | camera pans left to next scene, smooth pan left transition | カメラを左へ振って切り替える。逆方向への動きで対比や時間の遡りを印象づける。 |
チルトアップ(Tilt Up) | カメラをチルトアップして空へ切り替え | tilt up transition to sky, smooth tilt upward transition | カメラを下から上に振る。開放感や希望、スケール感を出す演出に使う。 |
チルトダウン(Tilt Down) | カメラをチルトダウンして次のシーンへ | tilt down transition to ground, smooth tilt downward transition | カメラを上から下に振る。静寂や落ち着き、終わりを表す流れに使う。 |
スピン・通過など空間連動トランジションの使い方
アニメMV、高画質
0秒〜5秒:踊りながら歌っている。カット割を多めに構成すること。
5秒〜10秒:spin transition, camera rotates 360 then next scene
踊っている最中にモーションブラーでシーンが切り替わり、別の背景に移動して、そのまま踊りながら歌う。
上記はやや再現難易度高めです。何かしらのトランジション効果は出てくれますが、綺麗に回転してくれるかは、結構ガチャ要素あります。
名称 | プロンプト(日本語) | プロンプト(英語) | 映像の印象・用途 |
---|---|---|---|
カメラ回転(Spin) | カメラが回転しながら次のシーンへ、スピンして切り替え、360度回転トランジション | spin transition, camera rotates 360 then next scene, spinning camera transition | カメラが回転しながら切り替える。動きに一体感があり、躍動感や勢いを強調する演出。 |
カメラ通過(Pass Through) | カメラが物体の後ろを通過して次のシーンへ、自然なパススルー転換 | camera passes behind object then reveals next scene, smooth pass through transition | 被写体や物体の背後を通過して次のシーンへ移る。映画的で自然な連続感を作り出す。 |
モーションマッチ(Motion Match) | 手の動きを引き継いでモーションマッチ、動きの流れで自然に転換 | motion match transition, hand movement continues into next shot, seamless motion match cut | 被写体の動きやジェスチャーを引き継いで次のシーンへ切り替える。動作に連続性があり自然。 |
感情や雰囲気を表現するトランジションのプロンプト
オーバーレイで記憶や回想を表現するプロンプト
ノスタルジックアニメーション:5秒後にシーンが切り替わる。
overlay transition, previous frame softly overlaid on next scene, emotional overlay blend
シーン切り替え後、前のシーンの右半分を半透明で重ね合わせたままにしてそのまま維持する。昔の記憶と感情を心に抱えている心理描写。
具体的にどの部分をオーバレイするのかを指定する必要があるみたいです。
単純に「オーバレイ表示して前のシーンを半透明に重ね合わせて」って指示しただけでは、上手くいきませんでした。
名称 | プロンプト(日本語) | プロンプト(英語) | 映像の印象・用途 |
---|---|---|---|
オーバーレイ(Overlay) | シーンを重ねてオーバーレイ、前の映像を透かして次のシーンに重ねる | overlay transition, previous frame softly overlaid on next scene, emotional overlay blend | 前後のシーンを半透明で重ね合わせ、感情や記憶の重なりを表現。時間や思考の連続性を持たせる効果がある。 |
ライトリーク・グリッチ・パーティクルの効果的な使い方
別れを演出する旅立ちのアニメーション
0-5秒:キャラクターは、微笑みながら瞳を閉じる。「さようなら、いとしき日々」
5秒〜:light leak transition, cinematic lens flare transition, warm glowing light leak
光漏れのように切り替えるライトリーク転換、温かい光で場面が変わる、レンズフレア風のトランジション、wide shot でキャラクターが full body shot で完全に後ろ姿で、秋の公園を歩いて去っていく。「また、いつか、その時が来るまでわすれないよ」
画像生成の時の癖でプロンプトが英語と混ざっていますが、これで再現できます。
おまじない程度に英語と日本語を並列表記していますが、ライトリーク・トランジションで十分伝わると思います。
名称 | プロンプト(日本語) | プロンプト(英語) | 映像の印象・用途 |
---|---|---|---|
ライトリーク(Light Leak) | 光漏れのように切り替えるライトリーク転換、温かい光で場面が変わる、レンズフレア風のトランジション | light leak transition, cinematic lens flare transition, warm glowing light leak | 光漏れのような効果でシーンを繋ぐ。温かく、映画的でアナログ感のある印象を与える。 |
グリッチ(Glitch) | ノイズで切り替えるグリッチ転換、デジタル歪みのトランジション、電子的な映像変化 | glitch transition, digital distortion transition, cyber glitch cut | ノイズや歪みを使って切り替える。電子的でスピード感のある演出に向く。 |
パーティクル(Particle) | パーティクルで切り替え、煙や霧が流れて次のシーンへ、水滴で覆って転換 | particle transition, mist covers frame then next scene appears, floating dust particle transition | ほこり・煙・水滴・霧などの粒子が画面を覆い、次のシーンに繋ぐ。幻想的で詩的な印象を持つ。 |
シネマティックな連続動作トランジションのプロンプト
マスク・フォーカスシフトなど被写体連動トランジション
アニメMV、高画質
0秒から5秒:踊りながら歌っている。カット割を多めに構成すること。
5秒から10秒:masked transition, subject walks across camera and reveals next scene, object mask cut, 踊っている最中に落ち葉吹雪がカメラの前を横切ってマスクトランジション、別の背景に移動して、そのまま踊りながら歌う。
名称 | プロンプト(日本語) | プロンプト(英語) | 映像の印象・用途 |
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マスクトランジション(Mask) | 被写体がカメラの前を横切ってマスクトランジション、物体を使って自然に切り替え | masked transition, subject walks across camera and reveals next scene, object mask cut | 被写体や物体の動きを利用して画面を隠し、次のシーンを自然に登場させる。動きの中で繋ぐため非常に映画的。 |
フォーカスシフト(Focus Pull) | ピントを移動させてフォーカスシフト転換、背景にフォーカスして次のシーンへ | focus shift transition, rack focus transition to new scene, cinematic focus pull cut | ピントの移動に合わせて次のシーンに切り替える。滑らかで映画的、視線誘導にも優れる。 |
モーションブラー・トランジションによる動作の繋ぎ方
モーションブラー・トランジションの再現自体は比較的容易です。ただ、I2Vでランニングの動作がなかなか上手く生成されません。元となるキャラクター素材にだいぶ左右される印象があります。
名称 | プロンプト(日本語) | プロンプト(英語) | 映像の印象・用途 |
---|---|---|---|
モーションブラー・トランジション(motion blur transition) | 動きのブレを維持してモーションブラー継続転換、ブラーを残したまま次のシーンへ、滑らかな動作継続トランジション | continuous motion blur transition, dynamic blur carries into next scene, cinematic motion carry cut | 被写体やカメラの動きに生じたブレを維持したまま次のシーンへ繋ぐ。滑らかで映画的な連続感を生む。 |
まとめ
今回は、Sora2を使って動画にトランジション効果を加える方法について、具体的なプロンプト例とあわせて紹介してきました。
フェードやディゾルブといった基本的なものから、カメラモーション系や被写体連動のトランジションまで、幅広いパターンを見てきました。
どの効果も、単に「切り替える」だけでなく、動画の流れや雰囲気をつくるために欠かせない要素です。Sora2では、日本語でも十分に伝わるプロンプトが多いため、工夫しながら試していくことで、より思い通りの演出が実現できると思います。
気になったトランジションからぜひ試してみてください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。