AIに歴代アメリカ大統領の演説を分析させたら、面白すぎた

AIに歴代アメリカ大統領の演説を分析させたら、面白すぎた AI会話

ゲティスバーグ演説
“government of the people, by the people, for the people”
(人民の、人民による、人民のための政治)

1863年11月19日にエイブラハム・リンカーン大統領がアメリカ南北戦争中に行った歴史的な演説の一節です。

アメリカの大統領って、演説がかっこいいですよね。
壇上に立って、国民に向けて力強く語りかける姿。映画なんかでもよく見るシーンです。

使っている言葉は、「自由」「経済」「平和」――
なんとなく、そんなワードがよく登場するイメージがありませんか?
それに、大統領のスピーチって、国を動かすほどの影響力があるから、言葉のひとつひとつにものすごい重みがありそうです。

でも、実際のところはどうなんでしょう?

  • どの時代に?
  • どの大統領が?
  • どんな頻度で?

どんな言葉を使っていたのか、気になりませんか?

これ、AIなら調べられるんです。

しかも、「〇〇大統領は経済の話が多かった」みたいなざっくりした印象論ではなく、
データとして数値化 することで、より客観的に歴代アメリカ大統領の思想や政策の変遷が見えてくるんです。

たとえば…

  • 「自由」って言葉、独立戦争の後に頻繁に使われていた?
  • 「経済」の話題、不景気のときに増えるのかと思いきや、景気回復期のほうが多い?
  • 「安全保障」「防衛」って単語、戦争前後でどう変わる?

こうした 「政治家がどんな言葉を、いつ、どういう状況で使っているのか?」 を分析すれば、
歴史の流れ だけじゃなく、もしかすると 未来のトレンド まで見えてくるかもしれません。

というわけで、今回は AIを活用して歴代アメリカ大統領の演説をテキストマイニング し、
その言葉の使われ方を徹底分析してみました!

その結果、中々面白いことが起きたのでご紹介します。

今回の調査方法 → 「テキストマイニング」で頻出キーワードを抽出!

今回、実際にAIに取ってきてもらったデータはこのようなものです

大統領名大統領番号任期スピーチ名日付キーワード出現頻度
ドナルド・ジョン・トランプ452017-2021就任演説2017-01-20アメリカ・ファースト25
ドナルド・ジョン・トランプ452017-2021就任演説2017-01-20変化22
ドナルド・ジョン・トランプ452017-2021一般教書演説2018-12-04経済20
ドナルド・ジョン・トランプ452017-2021一般教書演説2018-12-04安全保障18

どうやってアメリカ大統領の言葉を調査したのか?

今回の調査では、以下の手順で進めました。

  1. 歴代アメリカ大統領(46代まで)のスピーチデータを収集
    • 就任演説、一般教書演説、外交声明などの公式スピーチを対象に選定
    • ジョージ・ワシントンからジョー・バイデンまで、200年以上のデータを網羅
  2. テキストマイニング(AIによる言葉の頻出分析)を実施
    • 各スピーチ内の単語を抽出し、頻出回数をカウント
    • 単語の種類ごとに分類(理念・経済・外交・安全保障など)
    • 時系列で頻出単語の変遷を可視化
  3. AIによるデータ分析で「思想の変遷」を読み解く
    • 時代ごとに最も多く使われた単語を比較
    • 「理念的な言葉」と「実務的な言葉」のバランスを分析
    • 個々の大統領に固有のキーワードを特定

このプロセスを通じて、単なる歴史の年表ではなく、「言葉の進化」から政治の流れを可視化 しました。

47代のトランプ氏に関しては就任直後のため、今回は46代までのデータで分析しました。

大統領ごとの「言葉のクセ」をデータ化すると、ある傾向が…

AIで歴代アメリカ大統領のスピーチを分析したところ、いくつかの面白いパターンが浮かび上がってきました。

  • 理念的な言葉は、ある時期を境に落ち着く
  • 経済の話は、定期的に増えたり減ったりを繰り返す
  • 外交や安全保障の話題は、ずっと乱高下している
  • 一部の大統領しか使っていない「固有ワード」がある!

こうして分析してみると、大統領がどんなメッセージを国民に伝えようとしていたのか、そしてそれが時代の流れとどうリンクしていたのかが、少しずつ見えてきますね。

アイリー(AI)
アイリー(AI)

ここから分析結果を見ていきます。

【第一の発見】アメリカ大統領は「理念的なキーワード」をどう使ってきたのか?

「自由」「平等」「国のため」→ 大統領の口癖?

アメリカといえば、「自由」や「民主主義」のイメージが強い国です。
歴代アメリカ大統領も、こうした理念的な言葉を演説で繰り返し語ってきました。

しかし、AIでテキストマイニングを行ったところ、これらの 理念的なキーワードの使用頻度には、ある変化のパターンがある ことが判明しました。

単なる感覚ではなく、実際のデータとして可視化すると、次のような疑問が浮かび上がります。

  • 「自由」や「平等」は、どの時代に最も語られたのか?
  • 建国期と現代で、大統領の「理念」に対するスタンスはどう変わった?
  • 理念的なキーワードが増えたり減ったりする背景には何があるのか?

こうした疑問を解決するため、時系列グラフでその推移を見てみましょう。

アメリカの歴代大統領が使用した理念的キーワードの変遷

各アメリカ大統領(1代目~46代目)における「理念的キーワード」(例:自由、独立、共和国、民主主義、美徳、名誉、憲法、統一、革命 など)の総出現頻度の変化を示す折れ線グラフ

「理念的なキーワード」が減る時期と増える時期 → その背景とは?

「団結を守ることこそ、わが国の政治の基盤であり、最も大切な柱である。」

ジョージ・ワシントン 告別演説, 1796年)

  • 建国間もないアメリカにおいて「国家の統一(unity)」の重要性を強調。
  • 理念的キーワード: 「団結(unity)」「共和国(republic)」「自由(liberty)」

1. 初期の大統領(ワシントン~リンカーン)

この時期は、「自由」「共和国」「独立」といった言葉がめちゃくちゃ多く使われていました。
国が生まれたばかりの頃なので、「アメリカってこういう国だ!」と国民に意識を共有してもらう必要があったんですね。
建国の理念を強調することで、バラバラな州をまとめる狙いもあったのかもしれません。

2. 南北戦争後~20世紀初頭(ジョンソン~ウィルソン)

この時期になると、理念的なキーワードは少し減ってきます。
その代わりに「経済」や「産業発展」といったワードが増えてきました。
アメリカがどんどん成長して、国の理念よりも「どう発展していくか」が重要になってきた時代です。
理念はもうみんなの共通認識になったので、実務的な政策の話がメインになったのかもですね。

3. 冷戦期(トルーマン~レーガン)

この時期になると、また「自由」「平等」「民主主義」みたいなキーワードが増えてきます。
なぜかというと、ソ連との冷戦があったからですね。
「アメリカ vs. ソ連」の対立構造の中で、「アメリカは自由の国だ!」というメッセージを強く打ち出す必要があったわけです。
イデオロギー対決の時代だったので、国の価値観をはっきりさせることが重要だったんでしょう。

4. 現代(クリントン~バイデン)

最近の演説では、理念的なキーワードの頻度は落ち着いてきています。
「自由」「民主主義」といった価値観はすでに当然のものとして定着しているので、改めて強調する必要がないのかもしれません。
その代わりに「多様性」や「気候変動」といった、新しい価値観を示すワードが増えてきています。

アイリー(AI)
アイリー(AI)

時代の変化とともに、大統領のスピーチのテーマもアップデートされている感じですね。

結論 → AI分析が明らかにした「理念の安定期」

こうして見ると、大統領のスピーチにはその時代ごとのアメリカの関心事がしっかり反映されているのがわかります。

AIの分析でわかったのは、「自由」や「民主主義」みたいな理念的なキーワードは、ずっと増え続けるわけじゃないってことです。
ある程度の段階で安定するんですね。

これは、おそらくアメリカという国が、「自由とは何か?」を毎回説明しなくてもよくなったからかもしれません。
建国期にはバンバン使われていたけれど、それが当たり前になれば、あえて強調しなくてもみんなわかる、という感じでしょうか。

でも、冷戦期のように「理念を前面に押し出す必要がある時期」になると、また「自由」や「民主主義」といった言葉が増える傾向があります。
この法則を知っておくと、今後アメリカの政治がどう動くのか、ちょっと予測できるかもしれません。

【第二の発見】経済問題に関する発言は「一定の周期」で増減する!?

「恐れるべきものは、恐れそのものだ。」

フランクリン・D・ルーズベルト 就任演説, 1933年)

  • 世界恐慌のどん底でアメリカ国民を鼓舞し、経済復興への決意を示した歴史的なスピーチ。
  • 経済的キーワード: 「復興(recovery)」「恐慌(crisis)」「雇用(employment)」

「経済」が語られるタイミング → 実はパターンがあった!

「大統領は経済をどんなタイミングで語るのか?」
この疑問に対し、AIによるテキストマイニングを行ったところ、意外な法則 が浮かび上がってきました。

  • 「経済の話題は不景気のときに増える」という単純な話ではない!?
  • 経済キーワードは「増加と減少を規則的に繰り返す」傾向がある!
  • 全体としては増加傾向にあるが、一定の波がある!?
歴代アメリカ大統領が使用した経済的キーワードの変遷

各大統領(1代目~46代目)における「経済政策や産業発展を示すキーワード」(例:「経済」「繁栄」「革新」「進歩」など)の総出現頻度の変化を示す折れ線グラフ

では、この周期的な増減は何を意味するのでしょうか?

「景気が悪い時にだけ経済の話が増える」は本当か?

「経済が悪化すると、大統領はそれについて語るようになる」

これは一見、当たり前のように思えます。
しかし、AIが分析したデータを見ると、単純に「景気が悪いときにだけ」経済の話が増えるわけではありませんでした。

例えば、以下のような現象が観察されました。

  1. 不景気の時期に経済の話が増加する(例: 1929年の世界恐慌(31代フーバー)、2008年のリーマンショック(43代ブッシュ)
    → これは予想通りの結果。経済危機に対応するための政策発表が増える。
  2. 景気回復期にも経済の話が増える(例: 1950年代の戦後復興期(34代アイゼンハワー)、1990年代のITバブル(42代クリントン))
    → 「今の経済成長を維持しよう」というメッセージが発信される時期に経済発言が増える
  3. 経済が安定している時期には、逆に発言が減少
    → 大統領は他の政策(外交・社会問題)にシフトするため、経済的な話題は減る傾向

このパターンを見ると、「経済政策は問題を解決するためだけに語られるものではなく、成果をアピールするときにも増える」 という事実が見えてきます。

歴代大統領の発言から読み取れる「アメリカ経済のリズム」

では、具体的にどの時代に経済の話題が増えていたのか?

  • 1929年~1940年(大恐慌とニューディール政策)【31代フーバー~32代F.D.ルーズベルト】
    • フーバー、ルーズベルトの時代 → 「経済回復」が最大のテーマ
  • 1950年代(戦後経済の安定期)【34代アイゼンハワー】
    • アイゼンハワーの時代 → 経済の話題は比較的少なめ(国際問題にシフト)
  • 1970年代(オイルショックとインフレ)【37代ニクソン~39代カーター】
    • ニクソン、フォード、カーターの時代 → 「インフレ対策」の発言が急増
  • 1990年代~2000年代(ITバブルとリーマンショック)【42代クリントン~43代ブッシュ】
    • クリントン、ブッシュの時代 → 「成長の持続」→ 「経済危機への対応」とテーマがシフト
  • 現代(バイデン政権)
    • 「経済回復」「気候変動政策と経済」「雇用創出」など新たな視点が登場

こうした経済発言の増減のサイクルを見ていくと、アメリカ経済には「語られるべきタイミング」が周期的に訪れている ことがわかります。

結論 → 「経済発言の波」は、アメリカの景気サイクルとリンクしていた!

こうして経済キーワードの推移を見ていくと、単なる不景気・好景気の話では片付けられない、「アメリカの景気と政治の独特なリズム」が浮かび上がってきました。

景気が悪いときだけ「経済」が語られるわけではなく、景気回復のタイミングでも頻繁に登場する… これは、大統領が「経済政策の成果をアピールする時期」とリンクしているのかもしれません。

そして、次に気になるのが「外交・安全保障のキーワードの変動」です。
戦争が起こったとき、大統領はどんな言葉を国民に伝えてきたのか?
冷戦期や現代では「平和」と「戦略」、どちらの言葉が多く使われたのか?

次回は、「外交・安全保障のキーワードの推移」をAI分析で深掘りしていきます!
歴代アメリカ大統領が、国際情勢の変化にどう向き合ってきたのか、一緒に見ていきましょう。


調査内容の補足

今回のプロジェクトでは、まず歴代アメリカ大統領(1代目~46代目)の公式スピーチ(就任演説、一般教書演説、外交声明など)を収集しました。その後、AIを活用したテキストマイニング手法で、各スピーチから頻出するキーワードを抽出し、以下のようなカテゴリーに分類しました。

  • 理念的キーワード: 「自由」「独立」「民主主義」など、国の基本理念や価値観を表す単語
  • 経済的キーワード: 「経済」「繁栄」「進歩」など、経済政策や産業発展に関連する単語
  • 外交的・国際関係キーワード: 「外交」「同盟」「国際協力」など、国際関係に関する単語
  • 安全保障・防衛キーワード: 「防衛」「安全保障」「戦略」など、国の安全を守るための単語

さらに、一部の大統領しか使わなかった固有キーワードも抽出し、個々の大統領の独自性や政治的個性がどのように反映されているかを分析しました。

これらのデータを時系列で可視化するために、折れ線グラフを作成し、各時代ごとの変遷や周期性を明らかにしました。結果として、各大統領がどのようなメッセージを発信していたのか、またその発言の背景にある時代的要請や個人の政治スタイルが客観的に読み取れるようになりました。

この手法により、単なる印象論ではなく、具体的な数値データを基に歴代大統領の思想変遷を理解することができ、今後の政治や政策の動向を予測するための一助となると考えています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました