
本記事では、画像生成AIで水ドレスを再現するためのプロンプトについて解説します。
かなり昔の話ですが、女性がまるで水のドレスをまとっているように見える写真が話題になったことがありました。
写真家がモデルに何度も水をかけ、その広がりが偶然ドレスの形に見える瞬間を狙い続けたものです。わたし自身も写真を撮るので、その作品を見たときの衝撃はいまでもよく覚えています。
今回はそのイメージをヒントに、NovelAIでテキストプロンプトを使いながら水ドレスの再現に挑戦しました。
── 最終的に、このような水ドレスをつくることができました。

試す中でいろいろなプロンプトを使ったので、その過程も合わせて紹介します。記事の中で完成版のプロンプトも載せています。皆さんもぜひ使ってみてください。
水ドレス再現に使える基本プロンプト
「water dress」で生成した結果
まずシンプルに「water dress」というものがあります。そのまんまです。とりあえず一番最初はこれを使ってみようと思いました。

内容 | プロンプト |
---|---|
水のドレス | water dress |
何度か試してみましたが、このプロンプトではドレスの形を保ちつつ、裾の部分だけが水っぽくなることが多かったです。もしくは、水模様のテクスチャが入ったドレスのように見えることもありました。悪くはないのですが、今回わたしが思い描いていたイメージとは少し違いました。
「liquid dress」で生成した結果
次に試してみたのは、「liquid dress」です。

内容 | プロンプト |
---|---|
液体で作られたドレス | liquid dress |
このプロンプトでは、ドレスが水に溶けたような印象になりました。全身を映す構図では、裾が液体状に広がって溶けるように描かれることが多いです。逆にスカート部分が入らない構図だと、ドレス全体が液状っぽく見えます。
ただ、正直なところ「水ドレス」というイメージにはあまり近づきませんでした。
「water splash dress」で生成した結果
続いて、水飛沫のプロンプトで再現を試してみました。作例は以下です。

内容 | プロンプト |
---|---|
水飛沫で作られたドレス | water splash dress |
これも、だいたい想像はしていたのですが、スカートの裾が水飛沫みたいになる感じでした。ドレス全体が水でできている、というよりは、一部だけが水っぽくなることが多い印象です。
わたしがやりたいのは、全身を「水そのもののドレス」で包んだように見せること。だから、このままでは足りなくて、別のプロンプトを試す必要がありそうです。
詳細指定による水ドレスプロンプトの組み合わせ
ここまで試してみて分かったのは、ドレスとして指定すると全体が水にはならないということ。
なので、トップスとボトムスを別々に「水でできている」と指定するプロンプトを作ってみました。

water dress, splash dress, liquid dress, one-shoulder water bodice, flaring water skirt, floating skirt hem, water drops hem, floating water drops, backlit water, high-speed splash look
内容 | プロンプト |
---|---|
水のボディス | one-shoulder water bodice |
裾が広がる水のスカート | flaring water skirt |
水滴で作られたスカートの裾 | water drops hem |
今回は、前の章で紹介したプロンプトをとりあえず全部入れてみて、そのうえで「ドレスの上下も水でできている」という指定を追加しました。さらに、何となくいけそうって思いついたものをノープランで加えて試しています。ちなみにボディスというのは、ドレスの上半身部分を指す言葉です。
この方法は、わりといい結果が出てくれました。ドレス全体がちゃんと水っぽく見える仕上がりになっています。
ただしランダム性が強いので、生成するたびに印象がかなり変わります。

1girl, small breasts, slender, light blue long hair, red eyes, detailed eyes, tareme, catchlight, hair behind ear, wind, floating hair, leaning back, midair, zero gravity, knees up, wide shot, full body, from side, floating skirt hem, water dress, splash dress, liquid dress, one-shoulder water bodice, flaring water skirt, backlit water, high-speed splash look, water drops hem, floating water drops, underwater, sunset
ただ、やはりドレスの形そのものを崩すことはできませんでした。
わたしがやりたいのは「水そのものがドレスの形になる」こと。これまでの作例は、あくまで「ドレスが水っぽくなった」ものであって、水そのものがドレスになっているわけではないですよね(ちょっと何言ってるのか分からなくなってきました)。
冒頭で触れた写真家の水ドレスも、水をモデルにかけ続けることで、偶然ドレスのように見える形を狙ったものでした。そのため、最初から「ドレスの形」を前提にして「水でできていますよ」と指定しても、どうしても限界があるのかもしれません。
「体を水で覆う」プロンプトによる水ドレス再現
そこで、もう一度ちがう視点からプロンプトを考えてみることにしました。
最後に試したのは「水のドレスを着せる」のではなく、「体を水で隠す」という方法です。ちょうど昨日、顔を隠したり見えなくするためのプロンプトを紹介したことを思い出したんです。昨日のことなのに忘れてました‥。
「covering 〜」というプロンプトを使うと、何かで顔を覆い隠す表現ができます。前の記事では顔を隠すための色々なテクニックをまとめているので、よければそちらも見てみてください。
今回は、昨日掲載した記事のプロンプトを応用して、「水で体を覆い隠す」という指定を入れてみることにしました。
── というわけで、ドレスのことはいったん忘れて、とりあえず体を水でまるごと覆ってしまうようなプロンプトを、試行錯誤しながら考えてみました。
そして、最終的にできあがったプロンプトがこちらです。
pouring art, fluid art, body completely covering torso by multi-spiral layered large amounts of water splashes ── フルイドアート。何層にも重なった大量の水が、螺旋状に体をすっぽり覆い隠しているイメージ。
英語としては少し不自然な表現なのですが、いろいろ試した中でこれが一番安定してくれたので使っています。ちなみに「フルイドアート」とは、絵の具の液体性を活かして偶然生まれる模様や色彩を楽しむアートのこと。コーヒーにミルクを垂らしたときにできるマーブル模様も、身近なフルイドアートの例です。
では、このプロンプトを使って生成した作例を紹介します。


1girl, slender, light blue long hair, closed eyes, composed expression, wind, floating hair, tucking hair, body completely covering torso by multi-spiral layered large amounts of water splashes, floating water drops, splashing, summer, ocean, outdoors, horizon, pouring art, fluid art
中々いいのではないでしょうかっ!
かなり自分のイメージに近いものを生成してくれました。
これは「水っぽいドレス」ではなく、水飛沫がたまたま服のような形になった、という感じで、わたしが目指していた方向にだいぶ近づいています。
服を指定するプロンプトはまったく使っていないので、体を覆う水の形は完全に運任せです。
ちなみに、ここからは没作品になります。水の形自体は面白くて気に入っているのですが、ドレスの形にはならなかったものたちです。

いい感じのプロンプトではあるのですが、まったく制御が効かず、とにかく暴れまくります。
もう少しドレスらしい形を狙いたいと思い、ここで新たに次のプロンプトを加えてみました。
resembling dress-like silhouette ── ドレスを連想させるシルエット
これで、さらに水の形状がドレスっぽい方向に転んでくれるように願います。
このプロンプトを加えたうえで、さらに雰囲気系のプロンプトをいろいろ調整して生成したイラストの作例がこちらです。



1girl, slender, light blue long hair, closed eyes, composed expression, wind, floating hair, levitating, midair, arm up, tiptoes, full body, bare feet, body completely covering torso by multi-spiral layered large amounts of water splashes, resembling dress-like silhouette, silhouette mirage of flowing water, floating water drops, dynamic water trails, water splashing, pouring art, fluid art, summer, ocean, outdoors, dark blue to light blue gradient sky, reflection, ethereal atmosphere
きました!
これは、まさに自分がやりたかったことにピッタリです!
もう「水っぽいドレス」ではなく、水そのものが偶然ドレスのような形になった瞬間を切り取った──そんな写真の感覚に近い仕上がりになりました。
やっとここまで辿り着けました。気がつけば2012枚も生成していました‥。今日は一日中この作業だけに没頭していましたが(笑)、最終的に納得できるプロンプトを作れたので本当に良かったです。
それでは最後に、今回使った主なプロンプトの意味と役割を簡単に整理しておきます。
プロンプト | 意味 | 狙い |
---|---|---|
body completely covering torso by multi-spiral layered large amounts of water splashes | 螺旋状に重なる大量の水しぶきで胴体を完全に覆う | 今回の中で最も重要なプロンプト。 |
resembling dress-like silhouette | ドレスのようなシルエットに見える | 水しぶきをドレス風に演出する狙い。完全な偶然性を重視する場合は外してもよい。 |
silhouette mirage of flowing water | 流れる水の蜃気楼的シルエット | 半透明感や輪郭の曖昧さを表現。 |
dynamic water trails | 動きのある水の軌跡 | 速度感や流線的な広がりを強調する。 |
pouring art | アクリル流し込み風の模様効果 | 流体の模様を誘発させる。 |
fluid art | 流体アート全般の質感 | pouring art と組み合わせることで相乗効果が出やすい。 |
「fluid art」と「pouring art」は、入れすぎるとイラストが少し騒がしくなる場合もあるので、どちらか片方を外しても大丈夫です。ただし、両方とも外してしまうと水の動きが弱くなってしまう可能性があります。
また「resembling dress-like silhouette」も必須ではありません。これを外すと、体を覆う形がかなりランダムになり、肌の露出が増える傾向があります。今回はネガティブプロンプトを使っていませんが、露出が増えすぎる場合はネガティブプロンプトを併用するのも良いと思います。逆に、ランダム性を活かして何度も試すことで、思いがけず面白い作品が生まれることもあるのでおすすめです。
── そして、今回のイラストで意外と大事だったのが「浮遊感」です。
この部分には、以前紹介した「空を飛ぶ系」のプロンプトをそのまま応用しています。詳しくは、下の記事でも紹介しているので、あわせて参考にしてみてください。
まとめ|水ドレス再現プロンプトの活用ポイント
今回は、水ドレスをAIイラストで再現するためのプロンプトを紹介しました。
やってみて感じたのは、やっぱりAIイラストはすごく楽しいということです。私は写真も好きで今でも撮り続けていますが、偶然の要素が入り込む瞬間に惹かれるところがあります。しっかり構図を決めて撮るよりも、思いがけない形や流れが写り込む方が自分には合っているようです。AIイラストも、その感覚に近いものがあると感じました。
記事の最初で紹介したプロンプトを使えば、服の形を保ちながら水の質感をまとった安定したドレスを描けますし、最後に紹介したものはよりアート寄りの表現になります。どちらも使い方次第で面白い結果が得られると思います。
最終的に何が生成されるかは運次第ですが、ドレスのように見える水の形が生まれたときはとても嬉しいものです。ぜひこの記事のプロンプトを活用して、水ドレスアートを楽しんでみてください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
コメント