AIイラストをワンランクアップさせるライティング技法とプロンプト例

画像生成AI

本記事では、ライティング(光の当て方)を工夫することで、印象的なイラストを演出する方法を解説します。すぐに実践できるように、効果ごとに使えるプロンプトもあわせてご紹介します。

ライティングとは、写真撮影で使われる照明テクニックのことです。この手法をChatGPTの画像生成に応用してみたところ、想像以上にうまく再現されました。その具体的なやり方とコツをご紹介していきます。

なお以下記事にて、構図・アングルのプロンプト40種類をイラスト付きで解説しています。新しいChatGPTの画像機能に対応しているものです。

レンブラント光ってなに?画像生成AIでドラマチックな1灯ライティングを再現しよう

今回紹介しているイラストは全てGPT-4o(ChatGPT)で生成したものです。

レンブラント光(Rembrandt lighting)は、クラシックなポートレートでよく使われるライティング技法のひとつです。名前の由来は、有名な画家「レンブラント」がよく使っていた光の当て方からきています。

特徴:

  • 片側の頬に三角形の光(”レンブラント・トライアングル”)ができる
  • 主に斜め45度からの一灯照明でつくる
  • 光が当たっていない側の目の下に、小さな光の三角形ができている状態が理想的

わかりやすく言うと:

  • 顔の片側が影になるけど、目の下だけポッと三角形に光が差してる
  • この三角が「レンブラントのしるし」みたいなものです
  • 影が深く出るので、ドラマチックで立体的な雰囲気になります

どんなときに使う?

  • ポートレート写真(人物撮影)
  • 映画やドラマでのシリアスなシーン
  • イラストや3Dで表情に深みを出したいとき

画像生成AIでレンブラント光を試してみた

プロンプトは英語と日本語の両方を紹介します。どちらでも再現可能です。

Prompt

Rembrandt lighting, single light source at a 45-degree angle, soft shadows, triangle of light on the shadowed cheek


レンブラントライティング、斜め45度からの一灯照明、柔らかな影、影側の頬に三角形の光が入る

レンブラントライティング1
レンブラントライティング2

実際にこのライティングを画像生成AI(ここではGPT-4oを使用)に指示して以下のイラストを作成してみました。

実際に作った作例はこちら

画像生成AIでレンブラントライティングを使用した応用例

上記のプロンプトに加えて「背景を薄暗くして」と指示しています。もし背景が意図せず明るくなってしまう場合は「1灯ライティングの演出にして」と強調してください。

1灯ライティングは実際写真を撮る際にはとても効果的な光の当て方です。屋外で実際にこれをやろうとすると、特定の場所や時間を探すのがすごく大変なのですが、画像生成AIだと、あっという間に出来てしまうのでちょっと感動してます。

【2灯ライティング入門】画像生成AIでプロっぽい光を再現するテクニック

ここまでは、オーソドックスな「レンブラント光」を使ったライティング演出について解説してきました。ここからは、照明を2灯に増やし、異なる2つの角度から光を当てる演出方法をご紹介します。

人気のAIイラストレーターの作品を見ていると、ライティングを効果的に活用しているものが多く見受けられます。ライティングは当て方ひとつで、絵全体の印象を大きく変える力を持っています。

ここでは、画像生成AIで特に効果が出やすい代表的なライティングパターンを5つ取り上げ、SNSなどで人気のある美少女キャラクターのイラストを使って、実際の効果を見ながら解説していきます。

王道のやわらか光、キーライト+フィルライト

  • キーライト(主光源):被写体の正面45度から照らす
  • フィルライト(補助光):反対側から弱めの光を当てて影を和らげる

🔍 特徴:ナチュラルで立体感がありつつ、やわらかい印象。ポートレートの基本。

Prompt

Key light at a 45-degree angle, soft fill light on the opposite side, balanced soft shadows, natural and three-dimensional lighting


斜め45度からのキーライト、反対側からのやわらかいフィルライト、バランスの取れた柔らかな影、自然で立体感のあるライティング

ライティングの参考イラスト:ナチュラルで立体感がありつつ、やわらかい印象。ポートレートの基本。

髪や服に効果的な影が描写され、立体的な雰囲気になります。


輪郭が際立つ、キーライト+バックライト

  • キーライト:正面から被写体を照らす
  • バックライト(リムライト):後ろから輪郭に光を当てる

🔍 特徴:背景から被写体が浮き出てカッコよく見える。ドラマチックでシネマティック。

Prompt

Frontal key light, soft backlight creating a rim around the subject’s silhouette, dramatic contrast, subject visually separated from the background


正面からのキーライト、後方からのやわらかなバックライトで輪郭にリムライトが入る、ドラマチックなコントラスト、背景から被写体が浮き上がるライティング

ライティングの参考イラスト:背景から被写体が浮き出てカッコよく見える。ドラマチックでシネマティック。

顔には正面からの1灯しか当たらないので、やや暗めになり、リムライトで輪郭が浮き出る演出。ドラマチックでかっこいい印象になります。


ツヤ感アップ、キーライト+ヘアライト

  • キーライト:正面や斜めからメインの照明
  • ヘアライト:上方後ろから髪や肩に当てるライト

🔍 特徴:髪の毛や肩にツヤ感や立体感を出すのに最適。アニメやゲームのキャラにも合う。

Prompt

Key light from the front or at a 45-degree angle, soft hair light from above and behind, highlighting the top of the hair and shoulders, adding shine and depth


正面または斜め45度からのキーライト、上方後ろからのやわらかなヘアライトで髪の上部や肩を強調し、ツヤと立体感を加える

ライティングを適用させたイラスト参考例:髪の毛や肩にツヤ感や立体感を出すのに最適。アニメやゲームのキャラにも合う。

王道スタイルに似ていますが、よりツヤ感を出したいときはこちらのほうが効果的です。片側の髪や衣装がぼんやりとにじむように光ります。主に美少女イラストに適用させると、とてもいい雰囲気になると思います。


クールで無機質、両サイドライト

  • 左右両側から均等な明るさの光を当てる(影をなくす)

🔍 特徴:影を消してクール・無機質な印象に。メイク・商品撮影などでも使われる。

Prompt

Even lighting from both sides, symmetrical side lights, minimal shadows, flat and neutral illumination, clean and clinical look


左右両側から均等な光、シンメトリックなサイドライト、影を最小限に抑えたフラットで無機質な照明、クリーンで冷静な印象

画像生成AIにライティングを適用させた例:影を消してクール・無機質な印象に。メイク・商品撮影などでも使われる

画像生成AIに指示すると両サイドから光を当てる演出によって立体感をなくすことができます。無機質になるので、あえて無個性な印象を出すことができます。


幻想的な世界観に、カラーバックライト×モノトーンキーライト

  • キーライト:白系で自然なライティング
  • バックやサイドのライトに色を入れる(青・紫・赤など)

🔍 特徴:幻想的・アート的・Vaporwave感などの演出に◎。最近のイラストやMV風にも多い!。

Prompt

Neutral white key light from the front, colorful backlight in blue and magenta, artistic rim lighting effect, cinematic and vaporwave-inspired atmosphere


正面からの白系キーライト、背面に青とマゼンタのカラーバックライト、リムライトとして幻想的に縁取られた光、シネマティックかつVaporwave風のアートな雰囲気

※色は自由に変更可能(例:blue and purple、red and cyan など)

画像生成AIにカラーバックライト×モノトーンキーライトを当てた例:幻想的・アート的・Vaporwave感などの演出に◎。最近のイラストやMV風にも多い!。

非現実的な世界観を演出したいときにも、ライティングは効果的です。たとえば、サイバーパンクなネオン街を背景に取り入れることで、幻想的でクールな雰囲気のイラストを作ることができます。


【応用編】画像生成AIでつくる印象的なライティング作例いろいろ

gpt-4oを使ったイラスト生成例

2灯ライティングで紹介した手法は、本来スタジオ撮影などで使われる技術ですが、画像生成AIの場合は少し事情が異なります。同じようにライティングを指定するだけで、屋外のシーンであってもスタジオライティングのような効果を簡単に再現してくれます。

画像生成AIによるカラーバックライト×モノトーンキーライトの応用例、左右からわずかに別の色を当てて幻想的に仕上げている

こちらは、「カラーバックライト×モノトーンキーライト」の応用例です。
背面に「Very light purple and very light blue」の2色を設定し、それぞれ異なる方向から光を当てるように指示しました。

わずかな違いではありますが、左側には淡い紫、右側には淡い青の光が当たり、繊細で幻想的な雰囲気を演出しています。


画像生成AIにシャフトライト(斜光)を当てた例

シャフトライト(斜光)をスポットライトのように人物に当ててください」と指示したもの。コントラストがくっきりと出る印象的なイラストになります。


左右両側から均等な光、シンメトリックなサイドライトの作例

両サイドライト」を指示したイラスト例。フラットで無機質な印象になります。


レンブラントライティングのイラスト例

こちらは、レンブラント光のプロンプトを使って指示し、生成したイラストです。
光が一方向から当たることで、全体が引き締まり、かっこいい雰囲気に仕上がっています。

今回は「レンブラント光を横断歩道を渡る群衆に当ててください」と指示しました。
本来はポートレート用のライティング手法ですが、AI(GPT-4o)は空気を読んで、群衆に対しても斜めから光を当てるような演出をしっかりと再現してくれました。


リムライトを効果的に使用したイラストの例

2灯ライティングで紹介した「キーライト+バックライト」を応用して、「バックライト(リムライト)のみを歩行者に当ててください」と指示したパターン。


GPT-4oを利用した画像:メインライト(キーライト)のライティングテクニックの参考例

キーライト+バックライト」を利用したイラスト。「淡い青白い光を使って」と指示しています。


イラスト参考例:Key light from the front or at a 45-degree angle

こちらは、2灯ライティングの「キーライト+ヘアライト」を応用して指示したイラストです。構成は、「キーライト(正面やや左)」と「ヘアライト(左後方からの自然光)」の2灯ライティングを想定したものをAIに指示。

特に注目したいのは、髪の縁や肩のラインに入る光。ここにしっかりとリムライト効果が出ており、立体感と自然なツヤ感を演出しています。便利だ…。


画像生成AI(GPT-4o)を用いた「キーライト+バックライト(分離スタイル)」の応用例

キーライト+バックライト」の応用例。雨と夜という設定を加えています。再現するコツは、「背後に弱めのオレンジ光(街灯風)+前面をソフトに抑える」という指示を加えることです。


画像生成AI(GPT-4o)を用いたカラーバックライト、リムライトの応用例

カラーバックライト×モノトーンキーライト」の応用例。紹介したプロンプトの「colorful backlight in blue and magenta, artistic rim lighting effect」の部分だけを使い、「メイン光源は使わずに人物は暗くして」と日本語で指示しています。


また、以下の記事にて画像生成AIイラストの画風・スタイルを変えるプロンプトも紹介しております。

【まとめ】ライティング次第でここまで変わる、画像生成AIの光演出術

写真の話になりますが、ライティングの当て方ひとつで、同じ被写体でも驚くほど印象が変わります
自然光やストロボを上手に使えば、作品の雰囲気を大きく引き立てることができます。

実はわたし、写真を撮るのが好きで、年間に数万枚以上を撮影しています。
その中でふと、「このライティングのテクニックは画像生成AIにも応用できるのでは」と思い、今回試してみることにしました。

2025年3月25日のアップデートによって、ChatGPT(GPT-4o)の画像生成機能は大きく進化しました。それにより、写真で使われるようなライティング手法も、想像以上にしっかりと反映されるようになりました。

たとえば、「左から強い光、右後ろから弱い光を当ててください」と日本語で指示するだけでも、AIが意図を読み取り、期待に近いライティングを再現してくれることが増えたと感じています。

これからもさまざまなライティングを画像生成AIで試していく予定です。
興味深い表現や面白い仕上がりが得られたら、このブログで随時ご紹介していこうと思います。

以下の記事にて、ChatGPTの画像機能を用いたLINEスタンプや広告の作り方を解説しています。併せて参考にしていただけたら嬉しいです。

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