
本記事では、AIイラストでキャラクターにさまざまな影を描写するためのプロンプトを紹介しています。
AIイラストでキャラクターをより魅力的に見せたいとき、陰影をつけるプロンプトはとても効果的です。
まずは、いくつか作例をご覧ください。



ほんの少しプロンプトを加えるだけで、イラストの印象は驚くほど変わります。
アートの世界における「影」は、意外と奥が深く、実はしっかりと計算されて活用されているものです。
ざっくりとですが、影にはこんな効果があります:
このように、影は「立体感」「感情」「時間・場所」といった要素を、自然にイラストへ埋め込む役割を果たしてくれます。見る人に、言葉にしにくい何かを感じさせる力があるんですね。
そこで今回は、AIイラストに使える影のプロンプトを、シチュエーションごとに分けて紹介していきます。
それぞれの影が持つ視覚的な効果にも触れながら、そのシーンを再現するために必要な補助プロンプトも一緒に紹介していきますので、ぜひ試してみてください。
陰影を再現するプロンプト集
それでは、さっそく見ていきましょう。
最初に紹介するのは、木漏れ日のプロンプトです。これは個人的にお気に入りなので、一番最初に取り上げることにしました!
木漏れ日のプロンプト

内容 | プロンプト |
---|---|
木漏れ日 | dappled sunlight |
– 光の効果の補強プロンプト | filtered light through leaves, shaded face, sunlight through trees, warm natural lighting |
– 木に寄りかかって座る | grass, sitting against tree, reclining |
爽やかさ、穏やかさ、安心感、そして生命感。木漏れ日の光には、こうした感情効果があります。リラックス効果って感じですね。
その名のとおりですが、木漏れ日を演出するには「植物」が欠かせません。
自然と画面内に木や葉っぱが入り込むことになり、緑豊かな木々がイラストに加わります。
その結果、見る人にこうした印象を与えやすくなります。
顔半分に影をつけるプロンプト
案外面白いのが、この「顔半分に影が入る」プロンプトです。

内容 | プロンプト |
---|---|
顔半分に影が入る | partially shaded face |
– 落ち込む演出(作例左) | dim lighting, hugging own legs, looking down, partially shaded face, from outside |
– 狂気の演出(作例右) | dim lighting, squinting, crazy grin, partially shaded face, fisheye |
プロンプトは「partially shaded face」で再現できます。
基本的には、顔の上半分にサッと影が入るような描写になることが多いです。
この影が入ることで、思索・沈黙・謎・警戒といった印象を与える効果が出てきます。「心に何かを抱えている」「何かを隠している」「ミステリアス」といった感じですね。
どちらかというと、「負」の方向に感情が大きく揺れるような表現になります。
そのぶん、イラストとしてのインパクトも強くなりやすいのが特徴です。
またこれは絶対ではありませんが、顔の上半分に影が入ると、自然と視線が口元に誘導される傾向があります。その口の形によって、このキャラクターの「本性」がにじみ出るような演出ができるのもポイントです。
人の影をキャラクターに重ねるプロンプト
これはランダム性の強いプロンプトです。

内容 | プロンプト |
---|---|
人の影が顔にかかる | shaded face, shadow over eyes, top-lit lighting, cinematic half-face shadow, subtle diffuse sunlight, a soft human silhouette casting a shadow across her face, another’s shadow partially covering her eyes |
かなりランダム性が強く安定はしませんが、面白いプロンプトが作れたので、これも公開しておこうと思います。
人の形をした影がキャラクターに重なるようなイメージです。どんな人影になるのかが完全にランダムです。
ドラマチックな影のプロンプト
「ドラマチックな影」なんて言うとものすごい抽象的ですが、結構便利なプロンプトがあります。

内容 | プロンプト |
---|---|
ドラマチックな影 | dramatic shadows, cinematic shadows |
– 相性の良い組み合わせ(時間帯) | dawn, sunset, night |
わたしがよく使うのは、「dramatic shadows, cinematic shadows」この2つを併用してプロンプトに入れておく方法です。イメージとしては、映画のワンシーンのようなドラマチックな陰影を、AIが空気を読んで再現してくれるような感じです。
実際、コントラストが強調されたり、髪の毛や衣服の縁に光があたる(いわゆるリムライト)ような描写が多く、印象に残るイラストができやすくなります。
さらに、時間帯系のプロンプトを1つ組み合わせると、非常にいい味が出ます。
特におすすめなのは、dawn(夜明け)、sunset(夕暮れ)、night(夜)あたりです。

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これは、夜明けと組み合わせた作例です。
ちなみに、AIのランダム性に期待して、服はシンプルに「clothes」とだけ指定しています。
背景も「outdoors(屋外)」とするだけにとどめていて、構図だけ「cowboy shot, three quarter view(膝上、3/4の角度から)」というプロンプトで指定しています。
不吉な影のプロンプト
これも抽象的な言葉のプロンプトですが、便利なので紹介します。

内容 | プロンプト |
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不吉な影・不穏な影 | ominous shadow |
– (相性のいいプロンプト)遠近法 | foreshortening |
暗く、不吉な印象を与える影が描写されます。
これもなかなか面白いプロンプトで、全体的に薄暗くて不穏な雰囲気が漂うイラストが生成されやすくなります。
ちなみに、このプロンプトはあえて爽やかな設定の場面に組み合わせるのも効果的です。

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「blue sky, cumulonimbus(青い空と入道雲)」というのは、本来、夏の爽やかな設定としてよく使われる定番プロンプトです。
でも、これに「ominous shadow」を組み合わせてみると、不思議と不穏な雰囲気の陰影が加わって、イラスト全体の印象がガラッと変わります。
光の方向で陰影を作るプロンプト集
最後に、光によって陰影を作りやすいプロンプトを4つ紹介します。
横から当たる光のプロンプト

内容 | プロンプト |
---|---|
横から当たる光 | sidelighting |
– (相性のいいプロンプト)ハイコントラスト | high contrast |
– (相性のいいプロンプト)横にある窓 | side window |
真横からキャラクターに光があたることで、反対側が暗く落ちるような描写になります。
影を強めたい場合には、「high contrast」のプロンプトを加えるのもアリです。光が当たっていない側を、より暗く落とす効果があります。
屋内であれば、「side window」のプロンプトを使うのもおすすめです。
これを入れると、キャラクターの横に窓が設置され、そこから降り注ぐ光によって、横からの光が自然にあたるようなイラストになります。すごく綺麗で、印象的な雰囲気に仕上がることが多いです。
ちなみに、サイド光といえば、冬の夕暮れなどが典型的なシチュエーションですね。

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これは、冬の夕暮れという設定に「sidelighting」を加えてみた例です。
冬の太陽は低い位置を横に移動するので、こういったシチュエーションはとても馴染み深いですよね。
そのため、サイド光で再現してあげると、「冬っぽい」感じの印象を、見る側にしっかりと伝えることができます。
スポットライトのプロンプト

内容 | プロンプト |
---|---|
スポットライト | spotlight |
スポットライトは、周囲に暗い影ができるため、光があたっている部分に対する注目度が自然と高まります。
少し余談になりますが、イラストや写真において「余白が黒い」と、視線は内側へ集まりやすく、逆に「余白が白い」と、視線は外へ広がるという心理効果があります。これは実際によく使われる考え方です。
わたしは写真を撮るのですが、展示のときに、額装の余白を黒にするか白にするかは、意外と大事なポイントです。それだけで展示の印象がずいぶん変わってきます。
AIイラストでも、同じような効果はあると思います。スポットライトのプロンプトを使うと、実質的に「余白が黒い」構図に近くなるので、そのぶん光があたる箇所にグッと視線が集まるわけですね。
下から当たる光のプロンプト

内容 | プロンプト |
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下から当たる光 | underlighting |
日常生活では、真下から光があたるような状況って、あまりないですよね。
でも、たとえばファンタジーの世界で魔法を詠唱している場面などでは、こういったシチュエーションがぴったりハマりそうです。
上から当たる光のプロンプト

内容 | プロンプト |
---|---|
上から当たる光 | overhead lights |
ちょっと使い方が難しいところもありますが、これはなかなか面白いプロンプトです。
上から光が当たって、下方向に深めの影が落ちるタイプになります。
たとえば、トップライトといえば、真夏の午後の光などがよくある典型例ですね。
ちょっと試しに、そんなシチュエーションを再現してみましょう。

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トップライトが当たることで、顔にくっきりと影が落ちるようになりました。
肩や服にも濃い影が落ちるので、いかにも「真夏の午後」といった雰囲気を作ることができます。
ただ、このプロンプトは少し安定しにくい印象があるので、試行回数を重ねるのがポイントです。
まとめ
今回は、AIイラストでキャラクターに影をつけるためのプロンプトを、シチュエーションごとに紹介してきました。
影はただの光の反対ではなく、イラストの印象や感情を大きく左右する要素です。木漏れ日のような優しい光から、顔の一部に落ちる影、不吉な雰囲気をつくる影、スポットライトのような強い注目を集める光まで、少しのプロンプトで絵の表情が驚くほど変わります。
また、影をコントロールするには光を意識することも大切です。光の方向や種類(横から、下から、上から)によって、キャラクターの立体感や空気感にぐっと深みが出てきます。
今回紹介したプロンプトを組み合わせて使ってみることで、イラストにより豊かな表現を加えることができると思います。気になるものから、ぜひ試してみてください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。