最近、英語圏のSNSなどでよく話題になっているのが、ミニチュア風のワークスペースアートです。小さな部屋の中に、デスクや椅子、本棚、ノートパソコンなどが丁寧に描かれていて、まるでおもちゃの世界をのぞいているような雰囲気があります。キャラクターの生活感や個性も伝わりやすく、見ていてつい細かい部分まで目がいってしまいます。
これはChatGPTの画像機能を使うことで生成することができます。以下が私が作ってみたミニチュア風ワークスペースアートです。






これは表現のベースになっているのが、アイソメトリックアートという描き方です。
斜め上からの視点で、立体感を保ちながら空間全体を見渡せるように描くスタイルで、ゲームのマップや図解などでもよく使われています。奥行きがわかりやすく、全体のレイアウトもすっきり見えるのが特徴です。
この記事では、ミニチュア風アートがどんなものかを紹介しつつ、はじめての人でも楽しめるように、基本の考え方や作り方のポイントについてもやさしく解説していきます。
ミニチュア風イラストの基本構造|アイソメトリックアートとは
まず試せる、シンプルなプロンプト例
まずはざっくりと作るためのプロンプトを紹介します。

Pixar風・高精度3Dトイ風の造形で、アイソメトリックアートを活用したミニチュアCGでキャラクターのワークスペースのイラストを作成してください。台座に乗っているガラス製の立方体内に配置してください。
◆指定内容:
正方形構図、元気な女の子、自分の部屋で宿題をしている
指示する際は画像内に書かれている「あなたのこれまでの記憶や記録を一切引き継がずに以下を実行してください。」の部分は不要です。これは私が過去にこのイラストをずっと生成していたのでその記憶を引き継がないように指示を加えたものです。
ひとまず、このプロンプトでミニチュアワークスペースを生成することができます。冒頭でも少し名前を紹介しましたが、このようなイラストのことを「アイソメトリック・ジオラマアート」と呼びます。
アイソメトリック・ジオラマアートの意味と特徴
アイソメトリック・ジオラマアートは、斜め上から見た視点で、小さな空間を立体的に描いたデジタルアートのひとつです。等角投影(isometric projection)という技法を使い、奥行きや高さをわかりやすく表現できるのが特徴です。
この技法を使うことで、お部屋や机、日常の風景をミニチュアのように切り取ることができます。まるで小さな箱の中に広がる生活の一場面をのぞき込むような感覚があるのが特徴です。
どんな場面で使える?ミニチュアCGの活用例
使用シーン | 解説 |
---|---|
キャラクターの「マイルーム」や「デスク周り」の描写 | 自室の家具配置や趣味のアイテム、作業スペースなどをミニチュア化し、キャラクターの生活感や個性を視覚的に表現できる。 |
ゲーム風UIやジオラマ演出 | ドット絵やシミュレーションゲームのような画面構成に近く、ゲーム内マップや仮想空間の縮尺表現にも向いている。 |
ガラスケースの中に収めた展示風CG | 台座や透明キューブ内に空間を配置することで、実在の模型やフィギュア展示のような雰囲気を演出でき、コレクション性が高まる。 |
SNSやブログでの視覚的素材 | サムネイルやヘッダー、アイキャッチとしても使いやすく、整った構図と可読性の高さから情報発信コンテンツと相性が良い。 |
それでは、次はこのアートをChatGPTを使って、もう少し凝ったものを作る方法を詳しく解説していきます。
リアルなミニチュア空間を作るプロンプト設計例
それでは、凝ったアイソメトリック・ジオラマアートでキャラクターのマイルームを作るためのプロンプトと指示手順を解説していきます。
これは、意外とプロンプトが長いので、必要なプロンプトをまずは紹介します。以下のプロンプトをそのままChatGPTに投げてください(表の部分も気にせずそのままコピーで問題ありません)。
以下の設計書を読み込み、YAML形式のプロンプトをコードブロックで作成してください。
1. コンセプト定義
項目 | 内容 |
---|---|
タイトル | Airi’s Work-in-Progress Room |
世界観 | 深夜、自室にて何かを作業中だったAiriの“途中”の空間をミニチュア化 |
特徴 | 完成されていない=動きが残された私室。生活のリアリティと個性の可視化 |
スタイル | Pixar風のリアル3D × アニメ顔美少女 × ガラス展示型正方形ジオラマ |
外装・構成仕様
要素 | 内容 |
---|---|
フォーマット | 正方形構図(1:1) |
ケース | 完全透明なガラスキューブ、角あり |
台座 | マットブラック台座、「Airi’s Work-in-Progress」刻印 |
背景 | グレイッシュブルーのラジアルグラデーション照明演出 |
3. キャラクター(Airi)
項目 | 内容 |
---|---|
髪型 | 銀髪、ラフなまとめ髪 or ほどけかけのサイド結び(未完成感) |
表情 | 少し眠そう or ぼーっとした表情、斜め下に視線を落とす |
服装 | 白のゆったりTシャツ+グレーのショートパンツ(部屋着) |
ポーズ | 床に座り、片膝立ち or ベッドにもたれかかってノートを見ている |
手元 | ノート or ペンタブを片手に持ち、思考中の仕草 |
インテリア・小物
種類 | 内容例 |
---|---|
ベッド | 乱れたシーツ、ズレた枕、毛布の端が垂れている |
床 | 開いた漫画、小さなスケッチブック、脱ぎ捨てた靴下 |
デスク | 半開きのノートPC、ドリンクの入ったマグカップ(2個) |
壁 | ポストイット、カレンダー、印刷したスケッチ |
ネオン | 「W.I.P」または「ON HOLD」の白い細字ネオン |
照明 | 上部スポットライト+作業ライト(ブルーLED風) |
演出・レンダリング指定
項目 | 内容 |
---|---|
質感 | マットな布地、滑らかな木目、反射の抑えられたガラス面 |
照明構成 | 顔と肩にリムライト、作業ランプからの局所ブルー光、背景にはぼんやりグラデ照明 |
空気感 | 夜の静けさ、作業途中の静かな集中空間 |
被写界深度 | 浅め、中心(Airi)と周辺小物にフォーカス、自然なボケと立体感 |
上記のような日本語の指示をChatGPTに出すと、以下のようにYAML形式でプロンプトを返してくれます。
YAML形式には、少し複雑な構成のプロンプトでも、AIに誤解なく正確に伝えられるという大きな利点があります。もちろん、日本語のままでも画像生成は可能ですが、細部までこだわって厳密に作り込みたい場合には、YAMLでの指示がおすすめです。
構成や条件を整理しながら、AIに混乱させない形で指示を出したいときにとても役立ちます。

あとは、このコードをそのままコピーして画像生成の指示を出すだけです。すると、設計書にもとづいたイラストが、以下のようなかたちで生成されます。

基本的には、上記のプロンプトで変更したい部分だけをChatGPTに伝えることで、自分好みのワークスペースアートを自在にカスタマイズして生成することができます。ちょっとした調整で、さまざまな表現のバリエーションが楽しめます。









このようなガラスケースに収められた3Dジオラマ風のフィギュアアートも、手軽に作成することができます。設計書とプロンプトをうまく活用すれば、リアルで立体感のある作品を誰でも簡単に表現できます。
設計書を活かすコツとバリエーションの増やし方
本記事で紹介した設計書をベースにすると、ChatGPTとのやり取りが非常にスムーズになります。たとえば、「設計書をもとに、○○○の部分だけ変更して、もう一度設計書を作り直してからYAML形式で出力してください」といった具合に指示を出すと、必要な部分だけを差し替えたうえで、新しいプロンプトを整えてくれます。
このとき「YAML形式で、コードブロックにして」と伝えるのもポイントです。コードブロックとは、ChatGPTが出力するテキストにコピーボタンをつけてくれる枠のこと。プロンプトが長くなってもコピーしやすくなるため、作業効率が大きくアップします。
プロンプトを少しずつ調整していく際にも、「この設計書のまま、キャラの表情だけ変えて」「部屋の小物をアレンジして」といった形で細かく指定するだけで、新しいバリエーションが簡単に作れるようになります。
ChatGPTは会話の文脈を引き継いで画像生成できるようになったので、基本全て日本語でやりとりするだけで問題ありません。最後に画像生成用のプロンプトを作るときだけ、「YAML形式で」と指示して、画像生成用のプロンプトをあらためて出力してもらうことが重要です。
なお以下記事にてYAMLを活用したインフォグラフィックの作り方も紹介しています。
アートスタイルを変更してイラストの印象を変える方法
最後に、画風・アートスタイルを変更する方法を紹介します。
スタイル名・プロンプト | 特徴 | 雰囲気 |
---|---|---|
Pixar-style Toy Render(ピクサー風・3Dトイスタイル) | 高精度3D造形、丸みのある質感、キャラがフィギュアのような表現 | ミニチュア的で精巧、子ども向けアニメのような親しみやすさ |
Pastel Sweets Pop(パステルスイーツポップ) | 柔らかなパステルカラー、お菓子のような質感(光沢・透明感) | 甘くキュート、ふわふわとした夢の中の世界 |
Soft Mascot Style(ぬいぐるみ調) | ふわふわ素材、丸い顔や体つき、ボタン目など | ぬいぐるみのような優しさ、安心感のある世界観 |
Cutout Diorama(切り絵風ジオラマ) | 紙の輪郭・重ね貼りによる立体感、明確な層構造 | 童話的、ファンタジック、ややデフォルメ |
Cel-Shaded Gloss(セルシェーディング+光沢) | アニメ調の影に、瞳や髪へリアルな光沢・反射を追加 | アニメ感を保ちつつ、質感だけリアル寄り |
Holographic Idol Style(ホログラム風アイドル演出) | 発光・グリッチ・ネオン・ホログラフィックの視覚効果 | 近未来/SF/Vtuber的な空間演出に最適 |
Wood Doll Style(木彫り人形調) | アニメ顔を保ちつつ木目・彫りの質感、素朴な塗装感 | 温かみのある素朴な表現、クラフト風の美術感 |
紹介した設計書の「1. コンセプト定義」に記述されている以下の部分を、上記の表の内容に変えると、画風を変更することができます。
設計書内で設定されているアートスタイル
スタイル | Pixar風のリアル3D × アニメ顔美少女 × ガラス展示型正方形ジオラマ |

Pixar-style Toy Render
ピクサー風・3Dトイスタイル

Pastel Sweets Pop
パステルスイーツポップ

Soft Mascot Style
ぬいぐるみ調

Cutout Diorama
切り絵風ジオラマ

Cel-Shaded Gloss
セルシェーディング+光沢

Holographic Idol Style
ホログラム風アイドル演出

Wood Doll Style
木彫り人形調
まとめ|アイソメトリックアートで自分らしい空間を描くために
ミニチュア風のワークスペースアートは、アイソメトリックアートならではの視点と構成を活かして、コンパクトな空間の中にリアルさと可愛らしさを同時に表現できるスタイルです。
家具の配置や色の組み合わせを少し工夫するだけでも、雰囲気が大きく変わるため、初めての方でも自分の感覚で楽しみやすいのが魅力です。
英語圏ではこの手のアートが先行して広まりやすい傾向があり、まるで誰かの暮らしを俯瞰で観察しているような感覚が、多くの人に親しまれているのかもしれません。
キャラクターの暮らしや趣味をやさしく伝えたいとき、SNSやブログで印象に残るビジュアルを添えたいときにもぴったりです。まずはシンプルな構成から始めて、自分なりの空間表現を少しずつ広げていくのがよいと思います。本ブログがお役に立てたら嬉しいです。
またChatGPTでは今回のような様々な面白いアートイラストを作ることが出来ます。本ブログで紹介しているお勧めを以下に紹介します。


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